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2017年にはじめて『BEASTARS』の原作に出会ったという和氣プロデューサー。普段から通っている本屋で平積みされていた単行本のビジュアルに惹かれ、読んでみるとすぐに作品に魅了されたとのこと。
以前はスタジオ地図(※細田守監督作品を多数制作)に勤めていた和氣プロデューサーは、『おおかみこどもの雨と雪』や『バケモノの子』に携わり、もともと動物を描くアニメーションに思い入れがあったと振り返る。
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また2016年公開のディズニー映画『ズートピア』にも触発されて、日本で動物アニメをやるならどんな作品にできるだろうと考えて本作の企画を提案したという経緯があった。
第1話の放映を終えて、「ようやくここまで来たなという気持ちです」と感慨深げに語ってくれた。
『BEASTARS』のメイキングについてうかがうと、オレンジが制作したTVシリーズの前作にあたる『宝石の国』ではできなかった、顔の骨格表現へのこだわりを教えてくれた。
『宝石の国』では、丸型の顔に口などのパーツを貼り付けるといった手法だったそうだが、今回の『BEASTARS』ではCGモデルでフェイシャルの表現がなされている。
顔を動かすテストの動画が今回の展示会で上映されており、大きな見どころとなっている。
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今後のアニメの注目ポイントとして挙がったのが、OPアニメーションだ。第2話から放映されるOPは、人形のコマ撮りアニメで作られている。撮影で実際に使われたハルとレゴシの人形セットが、本展示会にて初公開された。
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OPを手掛けたサイクロングラフィックスの加藤道哉監督のインタビューや、人形の制作過程を含んだメイキングムービーが公式サイトで見られるので、それもチェックして放送に期待を膨らませていてほしいと和氣プロデューサーはコメントした。
展示会場では『BEASTARS』のほか、オレンジが丸井グループと制作したオリジナルショートアニメーション『そばへ』の資料も掲載される。丸井グループから出された「インクルージョン」というテーマをもとに、「映画にも引けを取らない作品にするつもりで作った」と和氣プロデューサーの熱意が感じられた。
『そばへ』は、日本ではまだ珍しいカラースクリプトを使った制作を採用。展示スペースの壁づたいにカラースクリプトを見ることができる。
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和氣プロデューサーいわく、「CGアニメーターにとって、カラースクリプトは完成図の指針になる。答えに近いビジュアル見せることで、到達しやすくなるんです」とのこと。展示スペースで『そばへ』本編の上映も行っているので、カラースクリプトと完成映像を比較して楽しむこともできそうだ。
また『そばへ』のコーナーでは『そばへ×謎解きゲーム』という、4つの問題に答えるとオリジナルのお菓子がもらえるイベントが用意されている。
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「けっこうハイレベルで、僕は解けませんでした(笑)。お菓子はここでしか手に入らないので是非挑戦してみてください」と和氣プロデューサーもお墨付き。
オレンジは作品ごとに必ず新しいチャレンジを取り入れるようにしていて、『そばへ』では水の表現の追求、『BEASTARS』ではフェイシャルの骨格表現に力を入れていると和氣プロデューサーは語る。
「『BEASTARS』第1話放送後の反応では、オレンジという制作会社に対する視聴者の認知も確かめることができたので、今後も作品と共にオレンジの成長を追ってもらえると嬉しいです」とトークイベントを締めくくった。
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その他にも、レゴシやハルの等身大スタンディが並ぶフォトスポット、『そばへ』に登場したネコのまっちゃのミニぬいぐるみUFOキャッチャーなど、オレンジのホスピタリティの詰まった展示会。11月4日までの期間中に立ち寄って、『BEASTARS』の放送を楽しみたい。
TVアニメ『BEASTARS』
(C)板垣巴留(秋田書店)/ BEASTARS 製作委員会