衝撃の個人制作アニメ「センコロール」は何がスゴイのか? 続編公開のいま“宇木敦哉”の魅力に迫る | アニメ!アニメ!

衝撃の個人制作アニメ「センコロール」は何がスゴイのか? 続編公開のいま“宇木敦哉”の魅力に迫る

第1作と最新作『センコロール2』がひとつになった『センコロール コネクト』が、6月29日に公開される。本作と宇木敦哉監督の魅力をおさらいしつつ、なぜファンの間で一本のアニメが伝説へと昇華されたのか、その秘密に迫る。

レビュー アニメ
『センコロール コネクト』宇木敦哉/アニプレックス(C)2019 宇木敦哉/アニプレックス
『センコロール コネクト』宇木敦哉/アニプレックス(C)2019 宇木敦哉/アニプレックス 全 9 枚 拡大写真
10年前、ほとばしる天才性で観客を虜にした伝説のアニメが、スクリーンに帰ってくる……。

2009年に公開され、熱狂的な支持を受けた『センコロール』。
10週年を迎える今年、第1作と最新作『センコロール2』がひとつになった『センコロール コネクト』が、6月29日に公開される。


ハイクオリティな劇場作品ラッシュが続くいま、どの作品を観ようか迷う気持ちもわかる。だが、アニメファンならば、縦横無尽に尖ったセンスが暴れまわる、本作を見逃す手はない!

本記事では、公開日が待ちきれない10年来のファンや、『センコロール』を未だ観たことのない方へ向け、本作と宇木敦哉監督の魅力をおさらいしつつ、なぜファンの間で一本のアニメが伝説へと昇華されたのか、その秘密に迫る。

■「究極の個人制作アニメ」はどう作られた?


第1作目『センコロール』では、不思議な生物・センコと共同生活を送るテツと、センコを狙う少年・シュウの戦い。それに巻き込まれる好奇心旺盛な少女・ユキを中心にストーリーが展開される。

高校生たちの青春と、不思議な生物“タコ”(『2』から登場するクリーチャーの総称)たちが乱舞する様が描かれる本作だが、なぜここまで評価される作品になったのか。


それには、通常の商業アニメとは異なる『センコロール』の成り立ちについて触れる必要がある。

PCの性能向上と各種制作ツール普及に伴い、自主制作アニメを制作する作家が増え始めた2000年代初頭。
そんな時代に発足したのが、アニメクリエーター支援プロジェクト「動画革命東京」だ。

宇木敦哉監督は、同プロジェクトに提出した企画が選出され、「動画革命東京」のサポートのもと、パイロット版映像を発表。
そして、映像の魅力に着目したアニプレックスが、宇木監督をメジャーデビュー化する形で、現在世に出ている劇場公開版を製作した。


作品の規模が巨大化しても、制作をしているのは宇木監督ほぼ一人。そのため、後述する監督の個性が、前面に出た作品になっているのだ。

■物語性ある絵を描く達人


そんな『センコロール』をほぼひとりで作り上げた宇木敦哉とは、どんなクリエイターなのか?

当初、マンガ家志望として活動していた宇木監督は、北海道教育大学在学時から講談社アフタヌーン四季賞に投稿し、2002年、2003年と2年連続で佳作を受賞。そして、卒業後の2005年に『アモン・ゲーム』にて四季大賞に輝く。『センコロール』以前から作家としての実力を評価されていた。


『センコロール』発表後は、アニメ『つり球』や、『デジモンアドベンチャー tri.』シリーズのキャラクターデザイン、さらには『センコロール』でも楽曲を手がけたsupercellへのジャケットイラスト提供など、その才能を幅広い分野で発揮している。

そんな活躍からわかるのが、一枚のイラストから背景の世界観、キャラクターたちの会話まで想像させる辣腕ぶりだ。


なお、宇木監督初めての展示会「ukix temp」が、2019年6月25日~7月2日の期間、中野ブロードウェイのAnimaga Zingaroで開催される。宇木タッチの魅力を堪能できる良い機会のため、ぜひ足を運んでいただきたい。

■一人のセンスが、伸び伸びと暴れまわる様を目撃せよ!


そんな宇木監督の感性をとことん尊重して作られた『センコロール』では、1コマ1コマから、そのこだわりが伝わってくる。

注目してもらいたいのが、センコを初めとする“ドローン”呼ばれるクリーチャーたちの活躍だ。
常にグニャグニャと動き回るドローンたちは、アニメーションの気持ちよさが詰まった存在として、視聴者の目を飽きさせない。


日常シーンでは、変形して日常に潜むセンコを筆頭に、「怪獣が身近にいたらなあ……」という妄想を実現したようなビジュアルが頻出し、1カット毎にこちらの想像力を強く刺激してくれる。

人間とリンクしたドローンはタコ(凧)と呼ばれ、飼い主の指示通りに行動するのみで本来人格らしい人格は持っていない。
だが、気怠そうな日常の動きから戦闘シーンまで、その一挙一投足が繊細かつ個性的に描写されており、しっかりとキャラクター性を感じ取ることができるのだ。
見終わった後は、常に仏頂面のセンコから感情を読み取れるようになっているかも……?


そんなタコを操る少年少女が織りなす、個性的な青春についても触れておきたい。
下野紘さん演じるテツ、花澤香菜さんのユキ、そして、木村良平さんのシュウという組み合わせを見て、「10代の少年少女が王道ボーイ・ミーツ・ガール路線を繰り広げるの?」と思った人は、良い意味で期待を裏切られるだろう。


主人公であるテツは、何事にもローギアで対応し、トラブルに全くワクワクしないタイプの少年だ。そんな彼が、好奇心の強いユキや悪ガキな面を持つシュウと交流する様子は、真剣なシーンでもどこかユーモラスな空気が漂い、実写的な演技も相まって、オンリーワンの魅力を放っている。

そして、『センコロール2』では、新たな人物や設定も登場し、1作目にはいなかった、パワフルな怪獣らしさを追求したタコ“ハンペン”が大活躍。


第1作目の魅力はそのままに、さらにエンタメへと舵を切った『センコロール』がどうなっているのか、ぜひその目で見届けていただきたい!

■異形の存在との共存や、フェティッシュな動画に惹かれる方は必見!


ここで、『センコロール コネクト』への取っ掛かりとして、いくつか作品を紹介しておきたい。
まず『寄生獣』や、昨年公開された『ヴェノム』といった未知の生物との共闘を描く作品や、『ゴジラ』などの怪獣物を愛する人にはぜひ観ていただきたい。
予想は裏切っても、期待は裏切らない映像体験ができるはずだ。


新海誠監督の『ほしのこえ』など、作家性が前面に出た短編作品を好んで観る方にも、おすすめである。
ここまで個性が表出したアニメを劇場で観られるチャンスは、なかなかない。

もちろん、『つり球』や、『デジモンtri.』シリーズなどで宇木監督の作風に惹かれた方にも必見だ。
ほぼ全ての工程を宇木監督が担当しているため、文字通りの“神作画”を堪能できるのだから。


そして、アニメの中でも物体の複雑な変形やエフェクトを好み、フェティッシュな作画で堪能したいなあ……という方にとってはハートど真ん中な作品であること間違いなし!
公開日に劇場へ駆け込むべき!

『センコロール』シリーズは、1カット1カットに、宇木監督の個性的なアイデアが込められた作品だ。アニメーションの快楽を追求した映像の数々には、アニメファンならばきっと虜になるはず。
興味を持った方は、ぜひとも劇場で観て、宇木監督の世界観を堪能するべし!

『センコロール コネクト』
宇木敦哉/アニプレックス(C)2019 宇木敦哉/アニプレックス

《山田幸彦》

【注目の記事】[PR]
 

この記事の写真

/

特集