20年ぶりの名誉国となった日本が選んだテーマは「NEW MOTION -the Next of Japanese Animation-」。当日の会場では、岡本美津子総合ディレクター、フェスティバル公式短編部門審査員に選出された山村浩二が同映画祭への想いを語り、AR三兄弟・長男の川田十夢は新海誠監督との取り組みについて述べた。
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岡本は、かつてアヌシー映画祭を訪れたマンガ家・手塚治虫が、そのエッセイでアヌシーを「この世の天国だ」と評したエピソードを紹介したうえで、「それから35年以上の時が経った今年、世界最高峰のアヌシー国際アニメーション映画祭2019に名誉国として日本が選ばれた機会を、私は日本のアニメーションの次の時代を考える機会としたいと考え、“NEXT MOTION”というテーマを設けました」とトーク。
“人”に焦点を当て若いクリエーターたちを世界に紹介したい旨、VR・ARなどアニメの拡張した発展や新しい楽しみ方を提示したい旨、次世代のアニメーターを育成する取り組みなど“こと”も伝えたい旨を挙げ、「グローバル時代の今日、このフェスティバルを通じて、日本と世界の若者たちがネットワークを築くことこれが次のMOTIONになるのではないかと考えています」としめくくる。
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山村は、自身の短編アニメ『頭山』が「アヌシー国際アニメーション映画祭2003」でグランプリを受賞した際、想像していたほど反響がなかったようで、当時同映画祭の知名度も低かったことを振り返りつつ、「今回このようにたくさんの方が(この場に)集まっていただいて、日本の特集を盛り上げてくださることは、アニメーションの文化のすそ野が広がってきたことを感慨深く思います」とコメント。
そして現代について「ネット社会が広がって繋がっているように見えて、ネット社会の小さなコミュニティに閉じている」と語ったうえで、同映画祭へ「実際の人と人、スクリーンの上でフィルムを楽しむ映画祭に、日本として参加することで、つながりが広がることを期待しています」との想いを述べた。
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川田は「新海誠という日本を代表するアニメーション作家とコラボレーションをしています」と前置いて、新海について「日本の四季や植物をコンテにして、拡張して作品にしている」と言及。
ARを駆使した作品を手掛ける立場から、「そのコンテとなるものをデジタル標本にして、それを読み取り、球体のスクリーンにその作品が再現されるという仕組みを準備しています」「『言の葉の庭』の藤棚をここに封じ込めると、該当のシーンがそこに再現される仕組みを作っています」と自作について紹介した。
「アヌシー国際アニメーション映画祭2019」は、フランス・アヌシーにて6月10日~6月15日に開催予定。「日本アニメーション特集」はどのような企画となるのか、6月のお披露目が期待される報告となった。
「アヌシー国際アニメーション映画祭2019」および「併設見本市MIFA」
会期:フェスティバル:6月10日(月)~6月15日(土)
MIFA:6月11日(火)~6月14日(金)
場所:フランス アヌシー市
会期:フェスティバル:6月10日(月)~6月15日(土)
MIFA:6月11日(火)~6月14日(金)
場所:フランス アヌシー市
[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]