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アニメ、ゲーム、コミック、声優によるリアルライブなど様々なメディアミックスを広げる次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」は、始動から今日に至るまで多彩な活躍を遂げてきました。
その展開のひとつであり、心地よいリズムアクションと魅力溢れるキャラクターたちの日々を堪能できるアプリ『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(以下、ガルパ)も、人気と注目が高まるばかりです。
Craft Eggが開発を担当する『ガルパ』は、iOSおよびAndroid用ゲームアプリとして、ブシモより2017年3月に配信開始。早ければ半年や1年でサービス終了を迎えることも少なくないアプリゲーム市場において、現時点で2年近く運営が続いている点だけで見ても、本作が力強い支持を受けていることが窺えます。
その支持の理由は、『ガルパ』が持つ魅力や信頼と無縁ではありません。キャラクターが生き生きと振る舞う姿を「Live2D」で雄弁に表現し、彼女たちのドラマをより濃密に描くことに成功。アニメや漫画ともひと味違う彼女たちとのひとときを、多くのユーザーが『ガルパ』で楽しんでいます。
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「Live2D」は、2Dイラストの魅力を活かしながら、立体的な動きを可能とする画期的なソフトウェアです。ゲーム業界はもちろんのこと、この表現を欲する多くの業界で使用されています。その発展は今も続いており、2018年12月3日にクリエイター向けのリアルイベント「alive 2018」を開催し、講演や出展といった形で「Live2D」の使用事例などがお披露目されました。
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そして、この「alive 2018」にて、セッション「Live2Dによる『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』のアニメーション演出例」を実施。Craft Eggのキャラクター演出チームリーダーを担当する井上順行氏と、Live2Dアニメーターの髙橋佑介氏が登壇し、表現にこだわる姿勢や「Live2D Cubism」を用いた手法などを語りました。
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まず、Craft Eggはユーザーが求めていることを実行する「ユーザーファースト」という考え方を重視していると明言。作り手目線に偏りすぎないように意識し、判断に迷う時は「ユーザーファーストか否か」を基準に考えていると明かします。
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ユーザーファーストの一例として、リアルを追求して数ピクセルのズレを直すよりも、エフェクトなどプレイ体験が明らかに変わる演出を追加する方が、よりユーザーが楽しめる=ユーザーファーストであると説明。作品作りにこだわるのはもちろんとして、どの部分に注力するかの定義を「ユーザーファースト」に設定していることが窺えます。
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ここからは『ガルパ』における実例を交えながら、キャラクター演出について解説。本作のアドベンチャーパートでは、Live2Dで描写されたキャラクターたちの豊かな表情や多彩なアクションが披露され、ユーザーを楽しませてくれます。
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そんなキャラクターたちを可愛く見せる演出に注力する事例として、「コウモリが出てきて驚く」といったイベントでは、驚いた顔やリアクションが可愛く見せられるので力を入れたとのこと。その一方で、「森林のシーン」で木々の揺れる音や小鳥の声といった環境音を入れると没入感は上がるものの、キャラクターの魅力的な演出とは直結しないので、優先順位は下がる形となります。規模の差こそあれ、どのような現場でもリソースは限られているので、そのリソースをユーザー体験に絞るのも「ユーザーファースト」ゆえの選択なのでしょう。
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キャラクターの“必死さ”を伝わりやすくするためにエフェクトを加えたり、キャラモデルを下方向に移動+ボイスエフェクトで“落とし穴に落ちる”という状況を演出するなど、Live2Dに+αを加えることでユーザーの体験を豊かにする演出をいくつも披露します。
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みんなでプリントシール機の撮影を楽しむシーンでは、撮影した写真への書き込みを少しずつ乗せることで、イベントのライブ感やワイワイとした賑わいを演出。彼女達の日常に触れているような体験の提供は、まさにユーザーが望む形のひとつでしょう。
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続いて、「Live2Dの応用を考える」では、「ドン!」という効果音を文字で描き、普段よりもキャラモデルを拡大して表示する漫画的表現を紹介。『ガルパ』では珍しいバトル感のあるBGMやカットインとの組み合わせなども挙げられました。
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また組み合わせだけでなく、Live2Dで描くキャラモデルについての事例を取り上げます。まず、「モーションに依存しないループ処理」の例として、光が円線状で点滅する電飾のついた帽子をキャラクターに被せるため、2つのパラメータを連結させることで光のループを生み出しました。ですが、電飾の明滅をモーションに連動させると、“モーションが流れてる間しか光らない”という点がネックに。
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そこで、モーションが終わっても動き続ける動作のひとつ“呼吸”に注目。この呼吸に“光るパラメータ”と“消えるパラメータ”を打つことで、モーションに関係なく点滅させることが可能になります。
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しかし、“呼吸”にパラメータを打つ方法では往復になってしまうため、ひとつの方向に走り続けるような動きはできません。その打開策として、「呼吸と同じように自動で動き続けるパラメータ」を実現するための機能を追加。ですが今度は、ループ処理が膨大になってしまいます。
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そこで原点に立ち返り、電飾を見せることが第一ではなく、その衣装を着たキャラクターたちが華やかに見えることが重要と舵を切り、ループ処理を大幅にダイエット。この判断も、ユーザーファーストの姿勢に則っています。
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ユーザーファーストに重点を置いた例として、キャラクター表現に直接関わる「光の演出」や、キャラクター同士を接触させる「触れあう2人」といった事例についても解説。特に「触れあう2人」では、単純にキャラ同士を近づけるだけでは解決できなかったため、“2人が並んでいるひとつのモデル”を制作して解決します。
もちろん、“2人が並んでいるひとつのモデル”を作るのは大きな労力ですが、それぞれのキャラクターをより可愛く表現することは、ユーザーにとっても望ましい演出なのは間違いありません。ここでも、ユーザーファーストが基準となりました。
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ちなみに、このモデルを用意するため、片方のキャラの顔に振られたパラメータを全て打ち直したとのこと。全て手作業での修正となり、何日もかかったと吐露します。ちなみに、当時は「Live2D Cubism 2.1」での制作でしたが、現在多くの方が使用している「Live2D Cubism 3」ならば、マルチキー編集を使うことで数値をまとめて変更可能と補足。こういった現場からの声も、ソフトウェアの発展の一助になっているのでしょう。
さらに、この「触れあう2人」にはもうひとつ問題があり、目の開閉や口パクが2人同時に動いてしまうとのこと。これを解決する手段として、片方だけ動くモデルを2種類用意し、それぞれのキャラが喋る時にモデルを切り替えつつ表示する、といった手法で解決しました。
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この解決に至るまでかなりの時間を要したと明かしつつも、「おかげさまでユーザー様からいい反響をもらえまして、頑張ってよかったなと思いました」と、その胸の内を吐露する場面も。ユーザーを向き合い続けてきた姿勢が、正しい形で報われた好例となりました。
技術面での邁進だけでなく、ユーザーファーストであり続けたことが、『ガルパ』が根強い人気を獲得した一因だったのかもしれません。2周年も徐々に迫っており、その勢いは更に増すことでしょう。2019年における躍進も、今から楽しみです。
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