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アニメやゲームのキャラクターに扮するコスプレは趣味から始まっていますが、TwitterなどSNSの普及によって何万人ものフォロワーを持つコスプレイヤーが現れるようになり、コスプレイヤーを通した情報拡散が企業の販促活動に組み込まれるようになりました。
一方で、公式コスプレイヤーの具体的なお仕事内容はあまり知られていないもの。そこで今回は、コスプレプロダクション「12カンパニー」に取材を申し込みました。
【12カンパニー】
2017年12月に、国内トップの人気を誇る麗華、五木あきら、KANAME☆の3人が中心となって設立。現在は所属・登録合わせて22人のコスプレイヤーをマネジメントしており、所属コスプレイヤーのTwitter、Facebook、Instagramなどを合わせたSNS述べフォロワー数は300万を突破している。
インタビューを受けてくれたのは、チーフマネージャー。今でこそスタッフが増えましたが、設立から半年近くたった1人で全コスプレイヤーを担当していたという辣腕ぶりを発揮しています。
■公式コスプレイヤーのお仕事はコスプレイヤーにとっても特別
コスプレイヤーのお仕事と聞くと、アニメやゲーム作品の公式コスプレだけだと思われがちですが、そうではありません。
「弊社では半分以上がゲーム会社からの公式コスプレイヤー案件ですが、それ以外は実にバリエーションに富んでいますね」(チーフマネージャー)。
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例えば、同社の看板コスプレイヤーの五木あきらさんを例に見てみると、ゲームの公式コスプレイヤーのお仕事以外にも、ボートレースのイメージキャラクターや広告モデル、さらには衣装のプロデュースなど幅広く仕事依頼が舞い込んでいるとのこと。
「その中でも、公式コスプレイヤーというのは特別です。うちの子も元来、趣味でコスプレを始めたわけですから、公式に認められるのは本当に嬉しいんですよ」(チーフマネージャー)。
■公式コスプレイヤーはどんなお仕事をするのか?
定番なのが「Anime Japan」や「東京ゲームショウ」、「コミックマーケット」など大規模イベントに出展する企業ブースに出演して欲しいというもの。当日の仕事内容は単に呼び込みやチラシ配りなどではなく、ブース内で撮影会を開催することで集客を狙っています。さらに、前日までにもやるべきことがあります。
・フィッティング
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公式コスプレイヤーとしての出演が決まると、衣装製作・衣装合わせがあります。仮縫いの状態でサイズを見る(仮生地)、ほぼ完成の状態で見る(本番生地)、最終調整と、通常は当日までに2~3回フィッティングを行います。
中国企業案件だと、前日もしくは当日のフィッティングになることも多く、衣装はサイズを伝えても少しゆとりを持って作られるため、サイズが合わないこともしばしば。しかし、アニメやゲームキャラクターのシルエットを再現する場合は、キツキツのほうが見た目は映えるので、1日余裕がある場合は同社で縫い直し、当日の場合は応急処置として衣装の隙間を詰めて安全ピンで留めると言います。ちょっとでもダブっているとシルエットが変わってしまうからです。
衣装は公式が用意する場合もあれば、衣装手配ごと依頼されることもあり、同社では社長の麗華さんを始め、五木あきらさんや伊波ユリさんは衣装製作が上手なので、他のメンバーのために制作することもあるそうです。
・ツィート
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そして当然、イベントまでにTwitterなどのSNSで告知することも業務の一環で、一週間前、前日、当日など時間帯も細かく指定されるとのこと。クライアントに一番期待されることが拡散であるため、仕事内容は投稿案件の比率が高くなるそうです。
■仕事を取るか、趣味を取るかで悩むコスプレイヤー
「イベントは土日の2日間拘束されてしまうため、多い子でも月2~3回くらいしか案件を受けられません。また、案件自体も継続の場合もあれば、スポットの場合もあります」(チーフマネージャー)。
イベント自体、企業も出展するかどうか毎回判断が変わるため、半年ないし一年先に依頼が来ることは少ないのが現状です。さらに、人気のコスプレイヤーほど依頼が集中して早くスケジュールが埋められていくため、一ヶ月前などの依頼では他の所属コスプレイヤーを薦めることも少なくないそうで、そこがプロダクションとしての腕の見せ所になります。
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「あとは、本人が一般参加したいという要望もありますね。元々、趣味でコスプレを始めている子達なので、どっちを優先するかで悩むこともあります。例えばコミックマーケットだとサークル出展している子もいる中で、クライアントからすれば三日間通しでブースに出てもらいたいでしょうから、そこはすごく判断が難しいところですね」(チーフマネージャー)。
■イベント出演に限らず、仕事の幅が広がっている
これまでの公式コスプレイヤーの仕事は土日のイベント出演がほとんどでしたが、最近はラジオや生放送の出演依頼も増えてきたと言います。こちらは平日可動が中心なのとコスプレしないでも良いため、コスプレイヤーにとって仕事の幅が広がったそうです。
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「ゲーム配信などはクライアントからも好評でした。本人達も元々ゲーム好きなのでやってみて楽しかったようです。1回のコスプレをするのに相当のエネルギー量を注ぐので、コスプレしないとお仕事できなかったのが、ゲーム配信などなら私服でできるようになったのは大きいですね。平日でも行えますから。休日のイベント稼働のみだったのがコンスタントにお仕事できるようになったと思います」(チーフマネージャー)。
また、コスプレイヤーは動画撮影を敬遠することも多いのですが、同社では元々ファンとのコミュニケーションの場として動画配信に力を入れてきたため、所属コスプレイヤーが動画慣れしてきたのも良い方向に働いているようで、「クライアントもしゃべれる子を求めているので対応できるようになってきたのは良いことです」とチーフマネージャーは言います。
■企業はどんな子を求めるのか?
それでは実際に企業から依頼が集中しやすいコスプレイヤーはどんな条件があるのでしょうか?第一にSNSのフォロワー数が多いことなのは間違いありません。しかし、人気があるコスプレイヤーは先にスケジュールを抑えられることが少なくないのも実情です。
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「最近になって傾向が変わってきたと思うのが、人気のある子はいくつも公式コスプレイヤーを掛け持ちしているため、フォロワー数が少なくてもいいから作品に寄り添ってくれる子を指名するクライアントが増えました。ただし、そのキャラクターの色が付きすぎても他のお仕事ができなくなるので、バランス取りは難しいです。理想は2~3キャラクターを掛け持ちするぐらいだと思っています」(チーフマネージャー)。
もちろん、プロダクションとして、フォロワー数だけでなく本当に合う子を提案しますし、フォロワー数が少なくても、現場での対応など本人の頑張りで次の仕事に繋がることも少なくないと言います。
「ファンに届くには説得力がないといけません。いくらゲームが面白いなどのツイートをしても、ファンから見て宣伝だなと思ったら伝わらないです。その子が本気でやっていて、ここの攻略どうしたらいいのかな?みたいなツイートにはその子のファンだけで無く、ゲームのファンがコメントを寄せてくれますから」(チーフマネージャー)。
■今後もコスプレイヤーの仕事は増えていく?
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同社は設立してから一年が経ちますが、当初は個人を指名しての案件が多かったものの、今ではプロダクションとして「○人キャスティングしてくれ」といった案件が増えたと言います。男性コスプレイヤーなど自社だけでは対応できないこともあるため、他のコスプレプロダクションと連携するようにしています。業界全体の活性化の背景には、資本力を持つ中国ゲーム企業の日本進出などゲーム案件の増加があります。
「今後は新しく入った子たちのフォロワー数の底上げも課題ですが、ありがたいことに12カンパニー全体を推してくれる方も多くて、弊社に入ったことがきっかけでフォロワーが増える子も少なくありません」(チーフマネージャー)。
今後はTwitterに留まらず様々なSNSを展開し、動画配信などからも本人のアカウントにファンや一般層を流入させていきたいと言います。
「本人がやりたくない仕事は決してやらせず、夢を叶える後押しをするのが同社のマネジメント。できる限り本人たちの希望に添うようにしていきたいですし、好きなことがお仕事にできるのは素晴らしいことだなと思います」(チーフマネージャー)。
12カンパニー公式サイト
撮影:寒黙(@nigellizhe)