「はたらく細胞」新作「風邪症候群」の見どころは? 今後の可能性は? 高橋Pに聞いた【インタビュー】 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「はたらく細胞」新作「風邪症候群」の見どころは? 今後の可能性は? 高橋Pに聞いた【インタビュー】

2018年夏クールに放送されたTVアニメ『はたらく細胞』より、アニメ化の企画を立ち上げ、プロジェクト全体を製作する高橋祐馬プロデューサーにインタビュー。12月26日放送の新作エピソード「風邪症候群」や今後の可能性まで話を聞いた。

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(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction 全 10 枚 拡大写真

■“ヒーローショー”を目指した舞台「体内活劇『はたらく細胞』」



――2018年11月には舞台「体内活劇『はたらく細胞』」が上演されました。舞台化も、アニメ企画と合わせて計画されていたのでしょうか?

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高橋
アニメ化の骨子ができあがった2017年には、社内の舞台チームと共に検討を開始していました。
昨今、いわゆる2.5次元舞台が盛り上がりを見せていますが、『はたらく細胞』ならではのものをつくらないとやる意味がないので、そこが検討のポイントでした。

そして本作では、会場のホール内を身体の中に見立て、「一般細胞」であるお客さんが色々な細菌やウイルスに襲われたりもするヒーローショー的な要素のある参加型の2.5次元舞台にしようというアイデアに至りました。例えばインフルエンザウイルスなんかは、めちゃくちゃお客さんに絡んでいきます(笑)。

――それは面白いですね!

高橋
インフルエンザウイルスが、お客さんをひな壇の上に上げて「お前をインフルエンザにしてやろうか?」と脅した時の、会場内の盛り上がりや一体感はすごかったです。

キャラクターがホール全体を縦横無尽に走り回ったり、舞台ならではの演出で「これ作画枚数にしたらどれくらいになるんだ?」と思わず羨ましくなってしまったぐらい(笑)、アニメとは違ったオリジナル要素のある面白い舞台になったと思います。

――11月18日には、初のリアルイベント「はたらく祭典」も開催されました。メインキャストがクオリティの高いキャラ衣装姿を披露して、話題を集めましたね。

(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction左から福島潤さん、小野大輔さん、前野智昭さん、花澤香菜さん、井上喜久子さん、長縄まりあさん

高橋
11年間の宣伝担当時代、色んなイベント作りを行ってきましたが、その経験を全部注ぎ込みました。
アニメ作品のイベントって、ある種の王道のひな形があるんです。トーク→ゲームコーナー→朗読→OP・ED歌唱、みたいな流れなのですが、今回そういうフォーマットを全部忘れて、『はたらく細胞』でしか出来ない形でお客さんを楽しませるものにしたかった。
それで、キャストを含めて様々な方に力を借りて、まるでアニメから飛び出したようなイベントにしたんです。脚本も全て自分で書いたのですが、盛り上げる流れをどう作るかは悩みましたね。

結果、内容を一切予告しなかったこともあり、キャストさんがイベント冒頭にキャラクター衣装姿で登場したときのお客さんの歓声はすごかったです。思わずステージ裏でガッツポーズしました(笑)。
キャストの方々もこういったイベント内容はあまり前例がなかったようで、終わった後に「楽しかった!」と言ってもらえて光栄でした。
面白いものを作るという成すべきための、最適解が出せたと思っています。

■お客さんが背中を押してくれたから生まれた新作エピソード「風邪症候群」



――2018年12月26日には新作エピソード「風邪症候群」が放送されます。

高橋
TVシリーズが想像以上の反響をいただけたので、1クールで終わらせずに何かしらの形でもっと作品をお届けできないかと思っていたところ、スタッフの制作状況やキャストのスケジュールを鑑みて、あと1本ならつくれるとのことでしたので「ぜひやりましょう!」となりました。
観てくれた方々に楽しんでもらえて、背中を教えてもらえたから実現した新作エピソードですね。

――今回のエピソードを選んだ理由は?

高橋
ほかにもアニメ化したいエピソードはたくさんありましたが、冬放送なので季節柄「風邪」がいいのではないかと。
これを見れば、身近だけど意外と知らない風邪のメカニズムが分かります。あと一般細胞がワチャワチャと身体の中を動き回るので、そのあたりも見どころかなと思います。

(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
――さらにアプリ『いつでもはたらく細胞』のリリースも発表されました。

【関連記事】「はたらく細胞」アプリゲーム化! ジャンルは“あなたを健康にするゲーム”!?

高橋
アニメ化企画と並行して、社内のゲームプロデュースチームとアプリゲーム化の検討を進めていました。
『はたらく細胞』ならではのゲームをつくりたくて、ゼロベースからアイデアを考えています。そんなに遅くならないタイミングでローンチ出来る様に鋭意作業していますので、是非楽しみにして頂ければ嬉しいです。

■果たして今後はあり得るのか?


――近年、TVアニメは毎クール50~60本放送されるので、ほかの作品に埋もれないよう作品をヒットさせるには「宣伝」の役割も重要になってきていると感じます。今回どのようなアプローチをされましたか?

高橋
アニメビジネスは大きく変わってきていて、スマホゲーム業界では「Paid to Play」ではなく、「Free to Play」が主流の時代となってきましたが、これと同じことがTVアニメでも言えると感じています。
単にいつお金を払うかという意味だけでなく、ネットサービスの発達と進化で、最初にタダでかつ(作品そのもの以外も含む)何で楽しむかの導線が無限に増えている。「Free to Enjoy」と言ってもいいかもですが、作品への触れ方がそれこそ毛細血管の様に広がっている時代です。

とはいえ、アニメはこれまで収益のメインがBlu-rayやDVDなどのパッケージビジネスだったので、元々、TV放送以外で作品を無料で見られる、楽しめる場をつくることに抵抗がある人が業界側に少なくない。
それでも、例えば配信に関してはここ数年の隆盛でだいぶ感覚も変わってきていますが、その他のことは今は過渡期中盤~後半だと思います。

その中で例えば本作は、第1話放送前にniconicoで冒頭5分くらいを流したり、配信会社さんを全方位で何十社さんも契約させて頂き、かつ各社さんで定期的に本編の繰り返し視聴をしたり、第1話をYouTubeで1カ月間無料公開したり、マンガの無料公開や無償素材提供、医療関係の取り組みなど、他にも色々な導線でまず作品に触れてもらえる場をたくさん増やしたんです。

やっぱり、毎クール新作アニメの数がとても多いので、そもそも第1話を観てもらえないことが十分あり得るわけですから、間口を広げるための導線をどれだけ作れるかが重要だと思います。


――最後に、これだけ反響があったということで、今後の予定はどの様になっているのでしょうか?

高橋
直近では、「風邪症候群」を制作し終えたので、次は面白いゲームを作ってファンの皆さんに楽しんでもらえる様に日々を過ごしています。
アニメに関しては、非常に多くの人が関わるので一存で決められるものではないため、色々な事が整えば、またお目にかかれる機会を作れたら嬉しいなと思いつつ、今はDVDの制作や施策展開を積み重ねております。いつかのその時まで、今は「ばいばい菌だ」とでも言いますか(笑)。

ただ、作品世界そのものが、今この瞬間も皆さんの中ではたらいている細胞たちの物語なので、いつでもキャラクター達が共にあることを感じて頂きながら、来年も健康に過ごして頂ければ嬉しいです。お正月の食べ過ぎ飲み過ぎにはご注意を(笑)。

『はたらく細胞』新作エピソード「特別編『風邪症候群』」
2018年12月26日(水)24時30分よりTOKYO MX・とちぎテレビ・群馬テレビ・BS11にて放送!
MBS・テレビ愛知・北海道放送・RKB毎日放送・AT-Xでも順次放送予定。
※放送日時は編成の都合等により変更となる場合がございます。 予めご了承ください。

・配信情報
GYAO!/バンダイチャンネル/ビデオマーケット/ニコニコチャンネル/AbemaTV/Netflix/dアニメストア/
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《乃木章》

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