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同日は『FGO』のマーケティング方法に興味のある社会人を対象に、同社のマーケティングチームが登壇してこれまで外部に伝えてこなかった“3つのマーケティング方法”、略して“3つの魔法”(マ法)を初公開しました。
■主なプロモーションの振り返り
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「宣伝」と「広報」を担当するマーケティングチームを代表して、執行役員 マーケティング部 部長の石倉正啓氏とマーケティング部 広報セクション マネージャーの市川伸氏が登壇。
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配信開始からまもなく3年を迎える『FGO』はアプリ内だけ留まらず、VRや、アーケードゲーム、リアル脱出ゲーム、ボードゲームなど様々な展開を見せてきました。それと同時に、幕張メッセの単独イベントを始め、日本各地で開催する冬祭り、コラボカフェなど数々のリアルイベントを開催し、毎回大きな話題を集めています。
■人を動かす3つの魔法(マーケティング方法)
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1.こまめな情報発信とリアルイベント開催「マメニ」
マーケティングチームを魔法使いに例えた石倉氏は、『FGO』に関わる様々な施策において、こまめにユーザーにとって価値ある情報を発信して行くことが大事だと語りました。
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Twitterトレンド大賞2017において、“FGO”が「WORD of the year」、“Fate/Grand Order”が「GAME of the year」の大賞にそれぞれ選出されたことをあげ、「ローンチ前から毎日話題が作れないかということでゲーム情報、関連プロジェクトの情報を発信してきた成果」とし、同ゲームにおける人気サーヴァント・マーリンの実装時にはトレンド1位に輝くなどユーザー以外も巻き込んで大きな話題が生まれたことを振り返りました。
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リアルイベントでも、2017年は2日間で2万人以上が来場した2周年フェスや、冬祭りなどのリアルイベントや、まめに開催して来たイベントやリアル脱出ゲームを紹介。全国4会場を回った2017年から2018年にかけて開催された冬祭りは同ゲームの人気サーヴァント・オジマンディアスをコンセプトに展開し、来場者が記念撮影できるスポットを用意。リアル脱出ゲームでは、同プロジェクトのクリエイティブプロデューサー・塩川洋介氏が全国各地の会場を回り、来場者との接点を持つことに努めたことを語りました。
2. 新たな驚きを提供する「マサカ」
『FGO』がスマートフォン向けゲームであるため、「ゲームの中だけでなく外においてどれだけ話題を作れるかが課題。どうやって外側に広げていけるかがマーケティングチームの役目」だと語った石倉氏。VRでは同ゲームのメインヒロイン・マシュに“逢える”特別な体験をコンセプトに、キャラクターをより身近に体験してもらうことが狙いでした。
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また、「AnimeJapan 2017」では最大規模のブースを出展。ステージではホログラムのようなスクリーンを用意し、これまでのゲーム内メインストーリーを振り返るといった映像を流したところ、涙するファンもいたそうです。
そのほかにも2周年フェスで行ったプロジェクトマッピング演出、運営批判を繰り返すことで人気が高まったWeb漫画「マンガで分かる!Fate/Grand Order」の女主人公たちが着ぐるみ化してリアルイベントを回るようになったこと、4月1日限定で配信・運営されたスマートフォン向けゲームの開発など、驚きを提供する仕掛けをゲーム外で行ってきました。
3.バスター石倉がユーザーと接点を持つ「マヂカ」
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「手前味噌で申し訳ないのですが、これは私なんですよ」と、自ら宣伝担当としてバスターTシャツを着て、サングラスをかけて、「バスター石倉」としてイベント会場でファンと交流することを大事にしていると語った石倉氏。実際にバスターシールを作り、半年で累計約4000枚を配布。これは全て手渡しした枚数ということですので驚きの数です。
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「私自らが宣伝担当としてメディアに出てお客さんと触れ合い、バスターシールを配ることがある種の演出になり、シールの価値が変化しているのではないかと思います」。と語り、運営側としてユーザーと接点を持つことが大事であるという考えから自ら一肌脱いだとのこと。
実際に、イベント後に「バスター石倉さんからシールもらったよ」とTwitterでツイートする来場者もおり、ゲームを遊んでいる人にとってはシールをもらうことが一種の体験=思い出になっているのでは、と手応えを感じていると言います。
まとめ
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石倉氏は3つの魔法を振り返り、ゲームを遊んでもらうためには日常化することが大切で、ユーザーに飽きさせないために、「ゲームの外側で援護射撃できるような、『FGO』の思い出を作る驚きのあるイベントを提供する」ことに努めているとのこと。
最後に、「僕らはゴールを“FGOのある生活”と定めています。将来的にはユーザーが『FGO』に囲まれた生活をデザインすることを目指して、スマホ以外でもVR、アーケードゲーム、リアル脱出と展開しています。FGOを5年~10年と続けて行ければ」と締めくくりました。
■広報は客観的視点を持った中立的な立場
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続いては市川氏が広報の役割と機能を話してくれました。ゲーム企業の中には宣伝と広報を兼ねているところも少なからずあり、同社ではあえて区分けしているといいます。「情報を伝えるのは一緒ですが、宣伝は主体的にやって行くことに対し、広報の手法はメディアを介するため間接的で、中立的な立場にあると思います」と違いを語りました。
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さらに市川氏は、メディアが掲載する『FGO』関連記事の月平均が3000本以上と発表。同じ情報であってもメディアごとに取り上げ方の切り口が違うことをあげ、記事のタイトルと最後の一文を「個人的には毎回非常に楽しみ」にしていると語りました。
■どうやったら取材に来てもらえるか
同社では『FGO』関連のプレスリリースを月10~15本ほど発信しており、この内容はどのメディアにとっても同じで違いが現れにくいため、「リリース以外の付加価値を考えて記事化してもらうための材料を捻出している」と語った市川氏。
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メディアが第三者視点としてユーザーに情報を届けるため、イベント開場前にメディア向けの内覧会を開催し、記事に使用する写真をきれいに撮影できるよう導線に気を配っているとのこと。
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実際のイベントでも、ローソンとのコラボキャンペーンの際は、開場前にローソンのマスコットキャラと女主人公の着ぐるみの2ショットを店舗の前で撮影してもらう場を設営。その他にも4月にオープンした社内のボードゲームカフェの取材に来てもらうために説明会を行ったり、同社代表取締役社長の庄司顕仁氏と塩川氏、「IZM designworks」代表取締役であり同社のアートとグラフィックのクリエイティブオフィサーである直良有祐氏の3者インタビューでは、直良氏の故郷である出雲の博物館で撮影するなど記事の見栄えに協力したりしてきました。
「広報は、読者の方に読んでもらえるような記事をメディアと一緒に作って行く立場だと考えています」と語る市川氏は、取材に来てくれた記者に忌憚のない意見を聞き、どうしたらより良い記事が生まれるのかアイデアを求めているとのこと。広報の役割を魔法に例えて、「より広く、より遠くへ“魔(マ)法”を飛ばす支援魔法」“コウホウ支援”と締めくくりました。
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トークセッションの後は、おまちかねの肉を食べながら同社のマーケティングチームに留まらない様々な職種の現場スタッフと仕事の情報交換やキャリアについて語り合う時間です。
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今回の料理も8割が肉尽くしで、ローストチキンだけでなく生ハムを美味しく頂くために多種のチーズとパンも用意。生ハムカットを体験したいという方には料理人が教えてくれる場も設けられ、ここでも体験を提供してくれる同社のブレない姿勢を感じました。次回の肉会は8月10日の開催で、プロジェクトマネージャーが登壇予定です。
肉会(MEAT MEETUP)Vol.3 集まれ!プロジェクトマネージャー
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