【あにめたまご2018】「えんぎもん」プロジェクトで実現した「世代を超えたアニメ技術と表現の継承」とは? | アニメ!アニメ!

【あにめたまご2018】「えんぎもん」プロジェクトで実現した「世代を超えたアニメ技術と表現の継承」とは?

あにめたまご2018より『えんぎもん』を手がけたスタジオななほしの佐藤広大監督とウサギ王の山口弘太プロデューサーにインタビュー。プロジェクトによる若手育成の成果と作品の魅力についてうかがった。

インタビュー スタッフ
【あにめたまご2018】「えんぎもん」プロジェクトで実現した「世代を超えたアニメ技術と表現の継承」とは?
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文化庁の支援の元、企業の垣根を越えて若手アニメーターの育成を支援するプロジェクト。それが「あにめたまご」だ。2011年の「PROJECT A」、2012年から2015年までの「アニメミライ」に続き、今年の「あにめたまご2018」で8年目の実施となる。
今回は6社による4プロジェクトが選出され、特別授業や資金面での補助など若手クリエイター育成のためのサポートの元、無事4つの作品が完成した。

今回は、温かみのある絵本タッチの3DCGが特徴の合同会社スタジオななほしとウサギ王株式会社による共同プロジェクト作品「えんぎもん」にフォーカスし、スタジオななほしの佐藤広大監督とウサギ王の山口弘太プロデューサーに、プロジェクトによる若手育成の成果と作品の魅力についてうかがった。
【取材・構成/いしじまえいわ】


【ストーリー】
七福神町・天野川家の子ども部屋に置かれたはるお(犬張子)、金ちゃん(金魚型紙風船)、ヘビ蔵(竹へび)、ダルマ団長(だるま)、小梅(こけし)の“えんぎもん”たちは、いつも大和とひみの兄妹を見守っている。ある日、ひみはよそから現れた招き猫のえんぎもんを追いかけて、家からいなくなってしまった。大和は突然動き出したはるおたちに驚きつつ、共にひみの救出に向かう!えんぎもんのご利益でひみは見つかるのか!?

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――あにめたまごでは若手育成が大きなテーマとなっていますが、監督はどのようなお考えでプロジェクトをスタートされたのでしょう?

佐藤広大監督(以下、佐藤監督):
私はCGI監督として若手指導も含めて現場に入ることが多く、今回若手として参加されたウサギ王のクリエイターさんたちとも一緒に仕事をしていたので、彼らの成長を応援する側として参加させていただきました。
通常のアニメ制作では時間や制作費の制約があり、若いスタッフが作り込みにこだわったり、こちらが指導に力を入れたりするのが難しいので、こういった機会は非常に貴重だと思います。自分としても、そういった若手指導のノウハウを体系化してみたい、という思いもありました。
また、ウサギ王さんのようなCGスタジオのスタッフが作画のノウハウを学んだり作画のプロと触れ合う機会は少ないため、彼らにとって今後役立つスキルを得る機会になるんじゃないか、という思いもありました。

――佐藤監督は元々サンライズでCGI監督をされていたので、CGと作画両方のご経験がありますね。一方、山口プロデューサーはどういった形でこのプロジェクトにジョインされたのでしょうか。

山口弘太プロデューサー(以下、山口P):
佐藤監督とはウサギ王でご一緒させていただいていたため、私がプロデューサーとして参加しました。

佐藤監督
このプロジェクトでは指導される側の若手スタッフの他に、指導しながら制作を指揮するスタッフの参加が必要になるのですが、特にスタッフのアサインでは山口プロデューサーの人脈に助けられました。

(C)スタジオななほし/文化庁 あにめたまご2018
■作画からCGへ。世代を超えて伝承されたアニメの技術と表現

――それでは具体的に若手育成についてうかがいます。このプロジェクトには講義や課題などの学習も含まれますが、効果はありましたか?

佐藤監督
私の思っていた以上に効果がありました。たとえば、アニメーターとしてのキャリア3年以内の若手のみなさんが、カメラのレンズやパース感など、背景とキャラクターとカメラの位置関係など、映像において基礎となる理解が欠けていることが浮き彫りになったんです。これは想像以上でした。

――若手の方々には、そういった基礎知識を学ぶ機会がこれまでなかったのでしょうか?

佐藤監督
CGスタッフとはいえ学生時代は手描きでアニメ制作していた人も多いですし、知識としてはあったと思います。ですが、実践を交えて学ぶ機会が少なかったのかもしれません。

(C)スタジオななほし/文化庁 あにめたまご2018
――監督自身はそういった知識はどうやって身に着けたのですか?

佐藤監督
私は作画のスタジオ出身なので、演出の方との相談の中で学びました。CGスタジオだと演出の方と触れる機会が少ないので、その差はあると思います。
またCGの場合、ソフトの機能としてのカメラがあるので、望遠だったり魚眼だったり、理解がなくてもそれっぽい画にはなるんです。だから私もこれまで「彼らは理解してやっているのだ」と思っていました。それが実は結構あやふやなままやっていたんですね。レイアウトなどは鍛える余地が相当あるのではないかと思います。

――実際の制作現場の様子はいかがでしたか?

佐藤監督
普段の制作だと時間的な余裕がないため若手が作ったものを修正するのに限界があるのですが、、今回はキーとなる原画からフィニッシュまで全て若手にやってもらうようにしました。そこで私と作画監督の白梅進さんとで毎日フィードバックをしたのですが、CGスタッフがベテランの作画の方に直接指導をいただける機会はあまりないので、とてもありがたかったです。

山口P
白梅さんはかなりベテランのアニメーターで、CMのアニメーションでは巨匠と言っていい方だと思います。70歳ですが今もバリバリの現役で、ものすごくパワフルな方です。

――御年70歳! すごい方ですね。具体的にはどんな指導をされていましたか?

佐藤監督
たとえばオバケ(※高速移動する物体の残像を描く、作画特有の表現)の作画を実演で見せてもらったり、それをCGで表現するにはどうすればいいかをみんなで一緒に考えたりしました。
アメリカのピクサーでは、2Dから3Dへアニメーションの技術や表現を継承させるのに成功しているので、日本でも世代を超えて伝えられるような現場を少しでも作れたら、という思いがずっとありました。白梅さんのご協力もあって今回それが実現できたのは嬉しいですね。

(C)スタジオななほし/文化庁 あにめたまご2018
山口P
私はその後いろんな現場で「白梅さんをとったのはお前か!」と言われました (笑)。

佐藤監督
おかげで「本当にこれが若手?」と思える作品になりました。うちのプロジェクトが一番育成できたんじゃないかな? と自負しています(笑)。
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《いしじまえいわ》

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