――では次に、マジンガー世代より若い世代の方に向けて意識された点について伺いたいと思います。志水監督といえば、劇場版「プリキュアオールスターズ」シリーズでも監督を手がけられてきましたが、本作との間に共通点はありましたか?
志水
変身や出撃シーンの見せ方、キメポーズの見せ方など、演出的な共通点はもちろんあります。具体的な例でいえば、「人間のアクションも絶対必要だ」ということで、新キャラクターのリサのアクションシーンを盛り込みました。尺は短めですが、光線技とかではない肉弾戦という意味で、プリキュアに近いものを感じられるかもしれません。
「プリキュア」シリーズでは、ヒロインたちがすごくカッコよく攻撃するのに敵に効いてない、敵がなかなか倒れてくれないというところにちょっとフラストレーションがあったかな? と思ったので、今回は敵がたくさん出てきて、爽快にバッタバッタと倒れるようにしました。ここは初めて見た方でも世代関係なく盛り上がっていただけるのではないかなと思います。
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――確かにバトルシーンはものすごく爽快でした! 東映アニメーションさんの中で、そういった子ども向けにも大人向けにも共通する東映アニメーション流の”見せ方”や演出術は、教えがあったり先輩が教えてくれたりするものなのでしょうか?
志水
教えは……マニュアル的なものはとくにないですね。見せ方の公式のようなものは、数多く作品を見て学べば見えてくるものかな、と思います。
しいて言葉にするなら、変に前衛的なものにしないで「エンターテインメントとはこういうものだ」という王道をいく感じ、でしょうか。今回の作品も、新しい演出方法などは全然使っていませんし、ストーリー展開もどこかで見たことがあるもののように感じられるかもしれませんが、それはあえてそうしています。
―― 一部の尖ったアニメファンだけでなく、多くの人に安心して楽しんでもらうため、ということでしょうか?
志水
その通りです。また、今回脚本を漫画家の小沢高広(うめ)さんに書いていただきましたが、泣けるストーリーになっています。試写会の感想を聞くと、意外にも普段ロボットアニメに関心のない女性の方からの反応がよかったんですよ。
――確かに。たとえば、今回さやか(※本作のヒロイン)の目線で見ると、10代の頃から10年経った男女の関係が、生々しいというかリアリティありますね。
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志水
脚本のこだわりどころですね。総じて、オリジナル要素も大事にしつつも、今回は大人も子どもも楽しめる「東映まんがまつり」のつもりで作りました。今回初めて『マジンガーZ』に触れるという方にも、広くお祭り的に楽しんでもらえたらなと思います。
――最後に、改めてオールドファンと新規ファンの皆様、両方にコメントをお願いします。
志水
昔からのファンの方々は、オリジナル作品との地続き感を意識して「正当な続編」になるように心がけて作っていますので、ぜひそこをお楽しみください。
若い皆さんにとっての見どころは、やはりストーリーでしょう。これまで『マジンガーZ』やロボットものに関心のなかった方にも感動していただける物語になっていますので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。