2014年には監督に林祐一郎、シリーズ構成・脚本に小林靖子を迎え初のテレビアニメとなる『牙狼〈GARO〉-炎の刻印-』が放送された。魔女狩りで炎に焼かれ殺された母親から産み落とされたレオンが魔戒騎士として成長していく同作は、躍動感にあふれた戦闘シーンやキャラクターたちの葛藤、人間の美しさ、そして醜さが生む悲劇など、様々な要素をもつアニメとなった。
5月21日に全国公開される劇場版『牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-』に先駆け、脚本を担当した小林靖子さんにインタビューを敢行。劇場版の見どころや、TVシリーズを制作した頃についてのお話を伺った。
[取材・構成=川俣綾加]
『牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-』
5月21日(土)全国公開
http://garo-divineflame.jp/
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──劇場版の制作が決定した時のお気持ちはいかがでしたか?
小林靖子さん(以下、小林)
シリーズ構成・脚本を担当したTVシリーズ『牙狼〈GARO〉-炎の刻印-』の放送が終了してまだそんなに時間が経っていないので、私としてはすんなり自然に入っていくことができたと思います。
──印象に残っているシーンを教えてください。
小林
終盤にヘルマンが「さあ、誰でしょう」とひとこと言うシーン。アフレコも見にいったんですが、ヘルマン役の(堀内)賢雄さんのお芝居と映像が合わさって、ぐっときますね。最初にレオンが登場するシーンも盛り上がります。物語において始まりはとても重要なので、あそこで一気に世界に引き込まれると思います。私の担当はシナリオですが、映像になって音楽と合わさると面白さが倍増されるというか。今回の牙狼でもアクションシーンがたっぷりで、全てが見どころです。
──以前にも、特撮ドラマ『牙狼〈GARO〉』の脚本を何度か担当されていたんですよね。どんな作品だという印象でしたか。
小林
残酷なシーンや女性の裸も出てくるけれど、実は正統派だなと。そういう描写を除けば正統派ヒーローもの。主人公はすごく正義の人で、間違ったことはしない。監督の雨宮(慶太)さんはそこを徹底していると思いました。
──脚本を担当する際、大人向けということで作り方など意識したことはありましたか?
小林
そこはあまり意識しなかったですね。難しい単語をわかりやすいものに置きかえる必要がないとか、夜のシーンをたくさん描けたり、残酷な描写をしてもOKなので幅が広がりました。
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──特撮ドラマでは日本が舞台で、アニメ版では中世ヨーロッパを思わせる世界ですよね。この西洋風の舞台は誰の発案だったのでしょうか。
小林
確か私が「中世ヨーロッパで」と言い出したはず。雨宮さんは「自分ではやらないようなことをやって欲しい」とおっしゃっていると聞いたのと、プロデューサーの方も海外でもどこでも自由に、とのことだったので。鎧を召喚しホラーと戦うという軸さえブレなければOKで。
設定を考えるにあたり色々な資料を見ていたら、たまたま拷問の歴史や魔女狩りのお話があったんです。牙狼の世界に合うのではないかと考えプロデューサーに叩き台を出したら、すんなりOKが出たんです。そこから基本的なキャラ造形をこちらで決めていって。
──そして、作品の根本的な部分を小林さんとプロデューサーのみなさんで練っていったんですね。オリジナル作品をつくる時は、最初にテーマを決めてそこから進めていくのですか?
小林
説教くさくなってしまうのでがっちり決めて取り組むことはないですね。進めていくうちになんとなくできてくるというか。『牙狼〈GARO〉-炎の刻印-』に関してはシリーズ構成の作業があったのでその時点である程度全容が見えているし、だからといって計算づくでもありません。最後のことはあまりわかっていなかったりもします。
──苦労したことがあれば教えてください。
小林
やっぱり最初の頃にシリーズ構成をみんなで悩んだことですね。オリジナルなお話をもんでいくのがすごく大変で。林(祐一郎)監督とプロデューサー陣で合宿もしたんですよ。部活の合宿のように和気藹々とお互いにアイデアを出し合って、いい雰囲気でできました。
──そうして作り上げたTVシリーズ。今振り返ってみて、小林さんにとってどんな作品になったのでしょうか。
小林
携わった他の作品もそうですが、ひとつひとつ大切な作品です。そして牙狼も私にとって大切な作品。牙狼では林さんの監督としてのデビュー作なので、初監督作品をご一緒できたのがとても嬉しかったです。
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