ー荒木監督にとって『ギルティクラウン』以来のオリジナル作品です。相当な力を入れておられると思います。
荒木
勿論力は入っていますね。『ギルティクラウン』とほぼ同じチームでやっていますが、『ギルティクラウン』で予想以上にうまく行ったところを取り入れています。一方でそうではなく、自分なりに反省があったとこともありました。「もっとうまく行けた」と思ってきたところは、もう一回やってみせようよと。『甲鉄城のカバネリ』では明らかにそれができている。
ー手応えは、かなりあると。
荒木
ありますね。おもしろいですよ。
ー1話からかなりこだわった画面になっていますね。
荒木
そこはどんなものでも真面目に描いてしまう人が身の回りにたくさんいるものですから(笑)。どんな破天荒な設定もすごいクオリティーの絵で描かれると、まるで本物みたいな説得力を持つんですよ。
ースタッフの布陣もかなり豪華ですね。
荒木
狙って豪華にしているわけではないんです。今までご一緒して自分と気が合ったかたにお願いした感じです。ただ美樹本晴彦さんは、今回の企画に重要な存在として特別にお願いしました。美樹本さんは時代の変化に負けない普遍的な魅力の絵で、確固たる世界観をお持ちである。ぜひにとお願いしました。結果は、狙った通りのビジュアルが実現できたと思っています。
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ー美樹本さんに何か特別なオーダーはされましたか?
荒木
「今、描かれている美樹本さんの絵が僕は好きなんです」って話をしました。イラスト集や美樹本さんのマンガでイメージを伝えたりしました。
ー美樹本さんのキャラクターが躍動している画面は感動させますね。
荒木
魅力的なことは勿論、「絵柄が他の作品に似ないこと」も大切です。いま、みんなが当たり前のように乗っている船には乗らない方がいいんですよ。まあヒットしないと説得力のない話ですが(笑)
ーヒットするかしないか、気にされていますか?
荒木
めっちゃしますよ。それは金をガッポガッポ儲けたいとかじゃなくて、僕たちは人の心を掴むにはどうすればいいのかをずっと考えているわけですから。その証拠としてのヒットは心底求めます。自分なりの答えを「こうだ!」と出して結果を待つ。はらはらします。
ー「みんなが当たり前のように乗っかっている船には乗らない方がいい」、という話は、本編1話で主人公の生駒が世の中の価値観に疑問を持っているのとも重なりますね。
荒木
2話以降でもっとグッと来ると思うんですよ。本当に破壊力があるのは2話だと僕は思っているので、早く見てほしいです。
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