――プロデューサーであるおふたりに、超人をテーマとしたオリジナル企画はいまは立ち上げにくいのでしょうか? かつてはアニメ、特撮ふくめて超人たちが百花繚乱の時代もありました。
布川
今は難しいですね。アニメでオリジナリティがあるものをつくりたいといっても、深夜帯でないとなかなかできない状況なので。
そのぶん、マンガ界にがんばって欲しいところです。最近のマンガ家さんは、空気感やドラマをつくることは長けているんですが……『NARUTO-ナルト-』や『ONE PIECE』のように、子どもが憧れるような冒険世界を描く作家さんがもうちょっと増えてほしいなと。
――そんななか、ボンズはロボットアニメを中心にオリジナルものに果敢に挑戦されています。
南
もともと僕はサンライズ育ちで、富野由悠季さんが描く世界が好きでしょうがないので(笑)。ロボットアニメでしか描けないものがあると信じていて、それで作り続けているだけです。
布川
口で言うのは簡単ですけど、なかなかできることではないですよ。南プロデューサーの素晴らしいところです。
南
いえいえ(笑)。でも、たしかにオリジナルが難しい時代ではありますよね。
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――『コンクリート・レボルティオ』はオリジナルもので、なおかつトリッキーで、企画としては難易度の高い作品です。
南
日本のアニメーションの未来を考えたとき、オリジナル作品をつくることが大切だと思っていて。去年、ボンズはオリジナルで『スペース☆ダンディ』をつくったんですが、国内よりもむしろ海外のほうに手応えを感じたぐらいで。『コンクリート・レボルティオ』も、企画時より世界配信を視野に入れていました。
布川
たしかに日本だけだとパイは限られているので、世界に目を向けるのは重要だと思います。南さんのような元気の良いプロデューサーがどんどんチャレンジしてくれるのは嬉しいです。
――今、“超人”をテーマとしたアニメ作品は、需要があるのでしょうか?
南
もちろんあると思いますよ。超能力のような人間の能力の超拡張表現はアニメーションが得意とするところだし、いつの世もヒーローや妖怪、ロボットといった超人は子どもたちの憧れですから。
布川
ただ、今はつくり手からすると、超人を描くことは難しいかもしれない。今年2015年は『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』の主人公がタイムスリップした年として話題になりましたけど、かつて想像された未来はほぼ実現しているわけで。
『コンクリート・レボルティオ』はそういった問題意識をふくめて“超人”をテーマとした作品だと思います。次世代の超人をどのような想像力で描いてくれるのか。そのあたり期待しています(笑)。
南
ありがとうございます(笑)。きっと、最終回でその答えが出るはずです。
――では、最後に『コンクリート・レボルティオ』の見どころをあらためてお願いします
南
あの時代を過ごした中高年の人にとってはノスタルジーを感じてもらえるだろうし、今の若い方にはアクションあり、重厚なドラマありのバラエティに富んだ作品に感じてもらえるはずです。世代ごとに違った味わいを感じ取ってもらえるようなつくりになっています。あとは、脚本の會川(昇)さんによる、人の心と時代の深層に切り込んだストーリー。そこを楽しんでもらえると心に残る作品になるかと思います。
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