――最初の話にやや戻りますが、当然次もテレビシリーズをまた3人で作るという選択もあったと思います。なぜ劇場だったんですか。
長井
劇場作品はすごく華やかな場所じゃないですか。劇場版のお話をいただいて、作らせていただけるならみんなでやってみようか、と気分が盛り上がったというのもありました。だからテレビシリーズを選択しなかったわけではないんです。
岡田
え、本当にやらせてもらえるんですか?
長井
作らせていただけるんですか、ありがとうございます!みたいな。
田中
わーい、劇場だって。
岡田
たぶん、いただいた話がオリジナルのテレビシリーズでも「わーい」ってなったと思うんです。でもやっぱり、劇場作品をまかせていただけるのは幸せですね。
――先ほどテレビシリーズが5本分をとの話があったのですが、逆に劇場でとまどったとか、ああやっぱり違うんだみたいなところはありましたか。
長井
テレビシリーズっぽい構成とはいえ、2時間内で見せ切る作品を作るのは時間配分を含めて、今回は試行錯誤でした。アフレコが終わったところでなんとなく見えてきました。
田中
やっぱり全然違いますよね。尺の長さってやっぱり大きいなと思います。
長井
『あの花』の劇場版も新作部分が半分ぐらいあったんですけど、一から作るのとこんなに違うかって、今は戸惑っている感じですね。
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■ 目指す方向がぶれない3人で
――最後にこの3人にチームで作っていることについて、お互いにどう思っているのかの感想をいただければ。
長井
楽しかったです。良くも悪くも長くやってきた作品ですので。何かしら言い合いながら作れるのは本当に楽しいです。
岡田
そうですね。この3人でやると、独特の悩みポイントや難しさもありますが、そのぶん独特の気持ちよさがあるんです。
大人げなくぶつかりあうことで生まれた気持ちの揺れが、作品内でのキャラクターの心情にも自然に影響するというか。
本当に得がたい人たちに出会えたなと思っています。
田中
3人でやるのは『とらドラ!』から数えて3作品目、『劇場版 あの花』とかを入れると4つめです。濃厚なドラマだったり、やりたいことや、目指す方向がブレてない3人なんです。もちろん毎回順調に3人ニコニコみたいなふうにはいかないんですけど、同じメンツでやる深みや、これまで経験したことがないレベルアップの仕方とか、もっとできるんじゃないかみたいなことへの挑戦とか。そういうのは作品を重ねれば薄まるかなあと思っていたんです。けれど、そういうことはありませんでした。
岡田
そうですね。
長井
日々、濃厚。
田中
それは非常に、幸運だなと思ってやらせてもらっています。
――ありがとうございます。
映画『心が叫びたがってるんだ。』
http://www.kokosake.jp/
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