『マトリックス』からの進化!ウォシャウスキー姉弟最新作『ジュピター』に見るSFアクションの醍醐味。 | アニメ!アニメ!

『マトリックス』からの進化!ウォシャウスキー姉弟最新作『ジュピター』に見るSFアクションの醍醐味。

ウォシャウスキー姉弟監督の出世作と言えばなんといっても『マトリックス』三部作だが、更に進化を遂げた宇宙活劇『ジュピター』は、ブレーキを踏まずにアクセル全開でファンを魅了してくれる。

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(c) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI)LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
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ウォシャウスキー姉弟監督の出世作と言えばなんといっても『マトリックス』三部作だが、『マトリックス』から更に進化を遂げた宇宙活劇『ジュピター』は、ブレーキを踏まずにアクセル全開でファンを魅了してくれるのだ。

現代のシカゴで毎日毎日他人の家を掃除しているロシアからの不法移民一家の少女が、なんと実は銀河帝国のお姫様だというのである。しかも、彼女の皇位継承権を巡って、三人の皇位継承者たちが陰謀を巡らせ、少女は突然命を狙われることになる。そんな彼女を守るのは、狼のDNAを持ったワイルドな賞金稼ぎのみ。まさに王道のSFアクションなのである。

主人公は「一見どこにでもいる一般人のようで、実は世界の命運を握る存在」であり、「世界の真実が一般人の目からは隠されていること」など『マトリックス』と通じる要素もあり、ファンならずともつい嬉しくなってしまう。『ジュピター』では、銀河全体を統一する王朝が10万年前から存在することを知らないまま人々は過ごしている。それどころか、自分たちがそれら星間文明に「支配」され、いずれ滅ぼされる運命にあるというのだ。かくして、「驚愕の真実」を知った、ごく普通の女の子ジュピターが、自らの運命を変え、世界中の人々を救うべく、陰謀を巡らす強大な敵に戦いを挑む。

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ストーリーを支える目眩くようなアクションも健在だ。『マトリックス』三部作では、その舞台の半分が電脳空間内のヴァーチャルリアリティであることを利用して、重力を無視したアクロバティックなアクションが縦横無尽に展開していたが、本作では現実の世界が舞台となっている。そこで監督姉弟が取り入れたのが、重力制御装置を組み込んだブーツを使った反重力スケーティング。重力と反重力とのバランスの加減で浮いたり落ちたりと、テーマパークのライドもかくやというスリル満点のリアルなチェイスシーンを見せてくれる。シカゴで実際にロケ撮影を敢行し、ウォシャウスキー姉弟初の3D映画にふさわしい、激しい上下移動による立体的なスペクタクルが堪能できるところが実に楽しい。

そしてコミカルなシーンを交えながら、『クラウド・アトラス』でも感動的に描かれていた「個々人の肉体的かつ精神的な自由」への揺るぎない確信と、それを制限しようとする「権力」への怒りのテーマが、本作でも受け継がれている。強引なまでのシンプルなアイデアと、続けざまに展開する迫力満点のアクション。これぞ、まさにウォシャウスキー姉弟の真骨頂である。



今年の夏には、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』、『ジュラシック・ワールド』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』が控え、年末には『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開。空前のSFイヤーと言えるのだが、これらはすべてシリーズモノばかり。このSFイヤーの先陣を切ることになったウォシャウスキー姉弟の新作は、(原作のない)完全オリジナルのSF大作である。この意味だけでも十分に価値のある作品と言える。

「私たちは、20世紀の子供たちと言えるわけで、それはつまり、独創性に惹かれることを意味する。(あの時代は)独創性こそがいちばんの魅力だったし、何か違うもの、観たことがないものを観るといつだってワクワクしたわ。『レイダース』『エイリアン』のような作品を例に挙げると、それらはオリジナルの題材から映画用に脚本が書かれた作品なの。そういう文化の中で私たちは育ったので、それまで描かれなかった映像、語られなかったストーリーに惹かれるの」と姉ラナ・ウォシャウスキーが語るように、『マトリックス』第一作から数えて十六年目にして遂に作り上げた本作は、きっと子供の頃に体験したあのワクワク感を呼び覚ましてくれるはずだ。

『ジュピター』
3月28日(土)新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー他 全国公開
http://www.jupitermovie.jp

アニメ!アニメ!×ジュピター特集ページ公開中!
/http://animeanime.jp/special/388/recent/

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