咲坂
自分のある一部分を取り出してキャラクターにしているので本当なら全てわかっているはずですが、その部分にどんどん色んな要素が加えられて変化していくので、「この部分はわかるけど、その部分は全くわからない」という事態も生まれます。そういう意味では一番洸が苦労しました。
自分でも自分のことって全てがわかるわけではないし、でもそれを解き明かした時に自分の嫌な部分が露呈しそうで怖い気持ちもあります(笑)。答えのようなものは用意していても、キャラクターによって答えへの辿り着き方が私の想定していたものと違った道筋になることもあります。そこが面白くもあり大変な部分です。
―これまでにも色々な恋愛のお話を描かれていますが、咲坂先生にとって恋愛マンガを描く楽しさはどんなものですか?
咲坂
恋バナ(恋の話)をして「わかる!」「恋した時ってこうなるよね!」と友達同士でキャッキャするみたいなノリです。私も読者のみなさんに向けて恋バナをしているみたいな感じです。こうだよね、というのを共感してもらいたいんだと思います。
無理して読者さんをキュンキュンさせようとしているわけではなく、きっと私はみなさんに共感してもらったり、一緒に「こうだよね」と盛り上がりたいのかもしれません。
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―咲坂先生のアオハル(青春)時代の思い出について教えてください。
咲坂
友達と遊んで帰るのも楽しかったですし、文化祭もめちゃくちゃ楽しかったです。今はできないのですが、自転車の二人乗りをしている時はその瞬間「あ、いま青春してるな」と思いました。今はやっちゃダメですけどね。
―作品づくりは先生のそういった過去の思い出の蓋をあけつつ作っていくイメージでしょうか。
咲坂
そうですね、自分の経験したことや友達に起きたエピソードなどを引っ張ってきたりします。でもマンガを読むという行為には現実逃避や夢を見たいという気持ちもきっとあると思うのでそういう時はそのまま描くのではなく、それにまんがらしさを加えることを意識してます。
だから物語の最初のほうの双葉とクラスメイトの話は迷いもあって、リアルに描くことが若干怖かったです。リアルだけれど救いがあったり派手にしたりと、バランスを取るように意識しています。
―『アオハライド』の、「アオハル(青春)+ライド(乗る)」というタイトルにもあるように、「青春に乗れ!」というメッセージは今の若い世代に伝えたいことでしょうか。
咲坂
「動かずに文句ばっかり」というのが嫌なので、「とにかく動いてみなよ!」 と伝えたいです。「だって傷つきたくないじゃん」「傷つくのが怖いのは当たり前じゃん」と言われそうですが、その時の失敗なんて大人になったらすっかり忘れてたりしますよ。
「青春に乗れ!」というのは恋愛だけじゃなく何事にもいえること。黒歴史を作るつもりでどんどんいって欲しいですね! この映画が後押しになれば嬉しいです。
―今日は、ありがとうございました!
『アオハライド』
2014年12月13日全国東宝系にて公開
http://www.aoha-movie.com/
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