舞台『半神』、萩尾望都の原作を超えて異次元舞台に 野田秀樹の傑作
高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義[取材・構成: 高浩美]舞台『半神』は野田秀樹作品の傑作、萩尾望都コミックを大きく飛び超えて、独自の異次元舞台に転換する。
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高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義
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ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]
舞台『半神』は野田秀樹作品の傑作、
萩尾望都コミックを大きく飛び超えて、
独自の異次元舞台に転換する
■ 原作はごく短い短編『半神』
しかし、そのテーマは深淵で哀しみに満ちている
萩尾望都原作『半神』。鬼才・野田秀樹が舞台化したのが1986年のこと。脚本は原作者と野田秀樹の共同執筆。初演は、その斬新さと世界観が大きな話題を呼び、夢の遊眠社の代表作品となった。原作は1984年『プチフラワー』(小学館)に掲載、ごく短い短編で、腰のあたりで繋がった双子の姉妹の物語である。
姉・ユージー、妹・ユーシー。妹は知的障害があるが、その容姿は天使のように美しく、姉は妹に栄養分を吸い取られるが故に醜く、痩せていた。両親から妹の面倒を任されており、自由に動きまわることの出来ない彼女の唯一の楽しみは勉強することだった。その知的レベルは高い水準であったが、それでも姉にとって妹は厄介な存在であり、自分自身のコンプレックスの象徴でもあった。
ある日、医者から「このままでは2人とも死んでしまう」と告げられる。分離手術をすれば妹は死んでしまうが、姉は生きられるという。一大決心をして手術を受け、無事に成功するが……。
原作はごく短い作品ではあるが、そのテーマは深淵で、読む者の心を揺さぶる。分離して妹が死に、姉は喪失感とさらなる深い哀しみの底に沈む。あれほど嫌っていた、呪っていた妹、その肉体が消え去っても姉の心に大きくのしかかってくる、人並みの青春を謳歌し、容姿も美しく見違えるようになったとしても。それでも姉は人知れず涙する。表面的には姉・ユージーは幸せに見えるが、その心の奥底は暗闇に閉ざされ、決して晴れることはないのである。
舞台『半神』は1986年初演以来、1988年、1990年、1999年と再演を重ねており、その都度、観客を増やし続けた名作、今回の公演は韓国の明洞芸術劇場との共同制作、国際交流基金との共催でのものとなり、9月には韓国公演が行われたのである。
《高浩美》
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