―『∀ガンダム』は放映時から尻上がり的に評価が高まっていて、今はすごく評価が高い作品だと思います。それは安田さんのキャラクターをはじめとした「癒し」がみんなに求められているということはありませんか?
安田
癒しが受け入れられたのかは分からないけど、『∀ガンダム』が持っているパワーに気づいたのではないでしょうか。
それと『∀ガンダム』はすべてのガンダムのエンドであるから、この企画を考えた富野監督はやっぱり神としか言いようがない。富野ガンダムという原作を別に広げた他人のものだったガンダム世界をも、全部自分のものにしてしまった(笑)。自分の要求とガンダムの終焉もちゃんと作って、ガンダムは最後は概念的に『∀ガンダム』で終わるという究極までいったわけです。
―『∀ガンダム』について、あらためて見るのであれば、何を見るべきだと思いますか?
安田
『∀ガンダム』で監督の神の御業を見てしまったものとして、神を見た人間はそれをどう表していいか分からない、そういう感じですよね。ガンダム世界に照らし合わせるとものすごく大切な作品です。
―富野監督の「神」は、どういった部分だったんですか?
安田
富野監督が天才的な何かを持っている感じではなくて、どちらかというと情念によって全ての物理的な法則が富野監督に集まってくる感じがします。
富野監督が行動することが、何か神を呼ぶ感じです。最初は「何言ってるんだ?」 ということが結構あるんですけど、10年経つといろんなことがわかってきて、「うわー!」となるんですよ。だっておかしいじゃないですか。富野監督は『∀ガンダム』の名前をつけてから、「∀」の記号に全肯定という意味を知ったんですよ。
―逆なんですね。
安田
「そうそう。これ全肯定という意味があるんだよ!」と言って。そんなことが多過ぎるんです。たぶん考えずに読みこむんですよね。未来想像センサーみたいなのがあるんです。
―本日はありがとうございました。
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『∀ガンダム』Webサイト
/ http://www.turn-a-gundam.net/
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