―AA
ホセを演じるにあたって気をつけたことは何ですか?
―鈴木
年齢感がわからなかったから、それを不透明にすることですね。俺は自分の声でしかホセに対してアプローチが出来ないからそれでどういう風に年齢感やホセの感情を引き出すかです。
絵とはまた違うファクターで映画に込めるもの、言葉にしかない絵でも表現できなさそうなところでいかにホセの人格を乗せるかをすごく考えました。絵の方はProduction I.Gの精鋭スタッフが本当に素晴らしい作品に仕上げてますから。
―AA
収録の際には、どの様に挑みましたか?
―鈴木
収録の最初、素子といる時とホセが自分の信念で何か起こそうとしている時とで、もっと明確な声の差を出していました。そのほうが彼らしいのかなって思ったんです。
けれどもそうすると打算で生きてる人に見えるかもしれないという話になって、それでもう少し差をなくしてみたりしました。
でも彼の中でも、素子と一緒にいる時と、いない時とでは違うんですよね。表面上では全くいつも通りなのに素子といると人間らしい感情に素直なんです。でも自分の目的に対しては厳しくて、常に揺らいでるんです。自分で演じていて不思議でした。
「OK!いいよ」「良かったよ」ってスタッフの方から言葉をもらいました。あまりに明確にしない声の芝居に手を出しているがゆえに手応えがなくて、雲をつかむような感じでしたが、それが聴いてみるとOKだったみたいです。「奥深いな」としか言いようがなくて(笑)。
―AA
感情のゆらぎが自然に声に表れていたのでないでしょうか?
―鈴木
作品の中に没頭していたなと思います。明確にわかって、「ここでこうして」と言えるのはそれだけ冷静だということです。だから、収録中は冷静じゃなかったんだと思う(笑)。
ホセだけを考えている状態で、本当に集中していました。
―AA
アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
―鈴木
今回は(坂本)真綾さんと二人で抜き録りだったんですよ。
―AA
二人だけだったんですか?
―鈴木
二人だけだった。本当にみっちり二人で雰囲気作って出来たから、良いものが出来たなって映像を見せてもらったときに思いました。
それと「攻殻機動隊」という作品が持っている雰囲気はARISEでもあって、でもARISEが持っている独特の雰囲気もアフレコのブースにはあったんです。それはスタッフにもあった。すごく濃厚な1本1本が今まで作られてきているだろうなっていうのが自然と感じ取れました。
後編に続く (7月25日アップ予定)