井上俊次(ランティス代表取締役社長)×太田豊紀(ドワンゴ執行役員)トーク 第1回「アニソンの現在」 | アニメ!アニメ!

井上俊次(ランティス代表取締役社長)×太田豊紀(ドワンゴ執行役員)トーク 第1回「アニソンの現在」

アニソンの現在と今後について、業界のトップを走るお二方、ランティス代表取締役社長の井上俊次氏とドワンゴの執行役員CPOの太田豊紀氏にトークをしていただいた。全4回で、アニソンの今を届ける。

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左)井上俊次氏、右)太田豊紀氏
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国内の音楽業界で、アニメの音楽=アニソンについて話題になることが増えている。近年、アニソンの成長が際立ち、人気アーティストたちはアニメファンを越えて知られるようになっている。アニソンは大型イベントやネットを使った企画など次々に新しい挑戦をする。海外でのアニソン人気も高く、日本のポップカルチャー発信の中心的な役割も果たす。

そんなアニソンの現在と今後について、業界のトップを走るお二方にトークをしていただいた。ランティス代表取締役社長として多くのアーティストを育て、そして業界有数の音楽会社を経営する井上俊次氏とアニメロサマーライブといったライブやネットを通じて新しいアニソンビジネスを目指すドワンゴの執行役員CPO(チーフ・プロダクツ・オフィサー)の太田豊紀氏である。太田氏は現在、ネットでアニソンライブを楽しむ「animeloLIVE!」(*1)などにも取り組む。

話は現在のアニソンの状況から、海外への展開、ライブ、ネットを使った試み、そして今後のアニソン業界についてまで多岐に渡った。アニメ!アニメ!では井上俊次氏と太田豊紀氏のトークを、「アニソンの現在」「海外を目指すアニソン」「ライブとネット配信」「アニソンの未来」の4回に分けてお届けする。
第1回は「アニソンの現在」だ。
[取材・構成:数土直志]

ランティス /http://www.lantis.jp/
「animeloLIVE!」 /http://live.animelo.jp/ (*1)

■ 盛り上がるライブビジネス

-音楽全体を巡る状況からお二方に伺わせてください。世界的にはCDの売上が右下がりになっているなかで日本はあまり下がっていません。CDが売れ続けている一方で、ライブビジネスが盛んになっています。しかもネットでも聴くとなると、相対的に音楽は昔よりよく聴かれている可能性はありませんか?

-井上俊次氏(以下井上) 
音楽に対するJASRACの使用料は変わっていないですよね。その中のバランスだけが変わっています。CDは少し減って、配信も少し減っているんです。ライブが伸びていますがJASRACの使用料だけですとそんなに変わっていません。
むしろ楽しみ方が変わって、聴き方が変わってきていると思います。

-ライブビジネスは実際に伸びているのですか?

-太田豊紀氏(以下太田) 
アニソンに限定したら伸びていますよね。アーティストのライブのための箱(会場)が足らなくなっているぐらいです。

-井上
私はバンダイナムコライブクリエイティブというライブの会社の社長もやらせていただいています。いま5年目なのですが、売上は伸びています。集客数が増えているということも含めて、右肩上がりになっています。
アニソンのイベント、コンサートの会場のキャパシティが大きくなっていますよね。それはたぶん、今まで10年間やってきたことが実っているからだと思います。

-太田
2008年くらいは、まだ武道館でライブができる人は限られていました。水樹奈々さん、田村ゆかりさん、JAM Projectといったかただけだったはずです。
でも、今はさいたまスーパーアリーナでやる方も非常に増えましたよね。

-井上 
そうですね。何万人になっていますし、水樹さんにいたってはドームですからね。

-太田 
同時に小さいライブイベントもすごく増えています。今は小屋を押さえるのがとても大変なんです。もうホールが足りない。

-井上 
10年くらい前に比べると、お友だちと来ていただく人たちが増えているんです。当時は、ひとり、ふたりなどで、ひっそりと。
それがいまは友だちに声を掛けたりして、5人、6人、たくさんの人数で来ていただいています。
あと、アニソンというジャンルが好きな人たちが増えています。JAM Projectは平均年齢50歳くらいのチームです。一方でSphereさんという人気女性声優の4人組のユニット。コンサートのアンケートを見ると、JAM Projectのライブで好きなアーティストにSphereとか。Sphereのライブ行くと、好きなアーティストJAM Projectとか。共通点はグループというだけなんですけど(笑)。いくつかのジャンルにまたがるのはJ-POPの世界ではあまり無いことなんですよね。
アニソンのジャンルが好きで、CDも買っていただいて、ハードルが高いライブまで顔を出していただける。これでキャパが広がっているんだと思います。

―アニソンのフェスティバルは、メロディで聴かせる人から、メタルっぽいものから、本当に幅が広いですよね。そうした幅広さはお客さんに望まれているということですか?

-井上 
CDの制作をしている立場から見ますと、J-POPの世界で今日本で流行っている音楽のジャンルは、ある程度限られていると思います。例えばダンスミュージック、いまはアイドルソング、かたや骨太なロックが下火になっていると思います。
けれどアニソンでは、劇伴もふくめて、いろんな音楽にトライアルできます。80年代に流行っていたような音楽や環境音楽に近いナチュラル系、そうした音楽はなかなかCD市場では賑わってないんです。けれどいろんな音楽を作品に合わせて提案していくと、ファンの方々がそれを勉強して、音楽をもっと理解してくれます。

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左)井上俊次氏、右)太田豊紀氏

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