究極の2.5次元を目指すゲームの舞台化 「PERSONA3」「AMNESIA」 3ページ目 | アニメ!アニメ!

究極の2.5次元を目指すゲームの舞台化 「PERSONA3」「AMNESIA」

アニメ×ステージ&ミュージカル談義[取材・構成: 高浩美]:主役の性別を変えて2バージョンの「PERSONA3 the Weird Masquerade~青の覚醒~」人気のオトメイト、しかもマルチストーリー分岐、ミュージカル「AMNESIA」に見る新しい演劇の可能性。

連載 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義
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汐見翔平役:蒼井翔太「PERSONA3 the Weird Masquerade ~青の覚醒~」(C)2013 Index Corporation/P3 the WM Project
汐見翔平役:蒼井翔太「PERSONA3 the Weird Masquerade ~青の覚醒~」(C)2013 Index Corporation/P3 the WM Project 全 8 枚 拡大写真
もう一方の舞台は大人気のオトメイトシリーズの『AMNESIA』。2013年にテレビアニメ化されている。並行世界に攻略キャラクターごとの世界(ハート、クローバー、ダイア、スペード、ジョーカー)が存在。基本的なキャラクター設定は共通しているものの、人間関係が世界によって異なるので舞台化する場合、マルチストーリー分岐を採用するのが、適切であろう。
メインキャラクター配役はシン・栗原吾郎、イッキ・畠山遼、トーマ・井澤勇貴、ウキョウ・磯貝龍虎。注目すべきはワカ役がゲームでも同役の声優・高橋英則。ここ数年、声優の同役起用が目立つが、原作世界を踏襲するには確かな手法であろう。

物語は、とある架空世界の、とある架空の国の、とある架空の街でのできこと。 8月1日の朝、目覚めた主人公は突如として1日以前の記憶を全て失っていた。自分の人生も人間関係もまったく白紙。そんな彼女の前に“精霊”だというオリオンという名の少年が現れ、 彼の導きで記憶を取り戻すことになった。
まずは自分の日常生活から探っていく。手さぐりな状況で、相手に記憶喪失を悟られないよう行動する主人公。“彼”との思い出を持たない主人公は、この日から新たな物語を紡ぐことになる……。

2時間半、ノンストップのストーリー展開。主人公と精霊は並行世界を移動する。そこで出会う“彼”かもしれない人物や知り合いかもしれない面々。個性的なシン、イッキ、ケント、トーマ、ウキョウ、そして主人公にしか見えない精霊・オリオン。歌あり、踊りあり、とミュージカルならではの手法で魅せる。
ワカ役の高橋英則はショーストッパー的な存在で場面を盛り上げる。“彼”かもしれない5人もそれぞれの役割をきちんとこなしており、好感が持てる。
オリオン役の山田諒は身のこなしが軽く、精霊にふさわしい。並行世界の移動でヒロインに様々な“理不尽”とも言える試練が襲いかかるが、ラストはホロリと泣ける。
初日は“シン”バージョンであったが、ゲームと同様に5パターンのマルチストーリー分岐。見比べると面白さは倍増するだろう。

なお、初日のアフタートークはなんとシン役の声優・柿原徹也が登場、司会は高橋英則。ミュージカルでシン役の栗原吾郎ももちろん登場、ダブル”シン“に客席は大いに盛り上がった。
栗原は柿原が観劇するとあって「プレッシャーだった」と語れば柿原は「シンのアイデンティティを演じてくれて嬉しい」と返した。柿原はシン役の栗原の声に関して「似ている」と絶賛。一方の栗原は「考えて演じると似てくるんです」と一言。トークイベントは好評のうちに終了した。

どちらの作品もストレートプレイにせずにダンス、歌などを織り交ぜてショーアップさせており、休憩なしで一気に見せる手法でゲームの疾走感を出し、純粋に楽しめるように工夫している。ゲームの舞台化のポテンシャルを示した作品、是非再演してさらなる高みを目指して欲しい。

ミュージカル『AMNESIA』
2014年1月9日~19日
博品館劇場
/http://musical-amnesia.com
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《animeanime》

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