2014年劇場アニメ 製作堅調もオリジナル企画減少傾向 実写のアニメシフトがトレンド 3ページ目 | アニメ!アニメ!

2014年劇場アニメ 製作堅調もオリジナル企画減少傾向 実写のアニメシフトがトレンド

年末恒例となったアニメ!アニメ!の翌年公開予定の劇場アニメのリスト化を今年も行った。■ 『風立ちぬ』興収120億円も、ポスト宮崎駿、ポスト高畑勲が課題に■ アニメファンにシフトした映画プロモーションの趨勢

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■ アニメファンにシフトした映画プロモーションの趨勢

若い世代のエンターテイメント映画の需要の多くを邦画アニメが満たすなか、配給各社がアニメ重視のシフトを強めている。いくつも大ヒットアニメシリーズを持つ東宝は、映像事業部の配給でこれまでより小規模な劇場数でよりコアなファンの取り込みを目指している。2013年であれば、『聖☆おにいさん』、『言の葉の庭』、『攻殻機動隊ARISE』などだ。2014年以降は、『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』が東宝映像事業部の配給になるとみられる。
ワーナーブラザースも、海外アニメーションでなく、日本アニメの配給権を取り、ヒットを目指す路線を持つ。2013年は配給を手がけた『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語』、『劇場版銀魂完結篇 万事屋よ永遠なれ』、劇場版『とある魔術の禁書目録―エンデュミオンの奇蹟―』の3本でいずれも期待を上回る成績を残している。当面はアニメのラインナップは続くだろう。2014年は、『ジョバンニの島』と劇場アニメ『宇宙兄弟』を手がける。

直接、アニメを手がけるのでなく、実写映画にアニメ的なプロモーションを取り入れるケースも増えている。『黒執事』、『銀の匙』、『僕は友達が少ない』、『魔女の宅急便』、『ルパン三世』などは、アニメ化により原作の人気が拡大した作品だ。
興行はアニメの人気に依存する部分も大きく、アニメファンの動員も期待される。同時に映画のプロモーションにおいても、アニメ映画でのノウハウが取り入れることになりそうだ。

この動きは、洋画アニメーションで圧倒的な力を持つディズニーも例外でない。ウォルト・ディズニー・ジャパンは、サミット・エンターテインメントが製作する『エンダーのゲーム』のプロモーションで、コミックマーケットに企業出展をして話題を呼んだ。『エンダーのゲーム』の本国のターゲットは、ティーンエイジャーだった。『エンダーのゲーム』の潜在的な観客は若いアニメファン、マンガファンと重なるとの判断だ。
似たケースは角川映画配給の「ハンガー・ゲーム」シリーズにも見られる。世界の10代、20代に圧倒的な支持を受けた本作のメインターゲットは、アニメやラノベのファンであるとの想定である。本作では日本語吹き替えに、アニメファンにお馴染みの水樹奈々や神谷浩史らの人気声優陣が並ぶ。
日本語吹き替えに人気声優を並べ、アニメファンの動員を期待する手法は近年急激に増えている。上記『エンダーのゲーム』や「ハンガー・ゲーム」シリーズのほか、『パシフィック・リム』や韓国映画『10人の泥棒たち』でも、吹替え声優がウリとされた。

映画業界ではこれまで邦画アニメは独特されてきた。しかし、2013年はそのファンやビジネスモデルを邦画や洋画に取り入れる動きが活発化した年であった。2014年以降もこうしたトレンドはさらに顕著になるだろう。
『機動戦士ガンダムUC』や『宇宙戦艦ヤマト2199』で成功したイベント上映を大きく取り入れた『THENEXTGENERATION-PATLABOR‐』はその代表となる。日本のライトノベルを原作とするハリウッドのSF映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』も、声優などでそうした試みの可能性がありそうだ。
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