観客動員数が一挙に増加の2013年、2014年も話題作が続々:アニメ&ミュージカル談義
高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義:2013年の振りかえり、そして2014年を展望する。観客動員数が一挙に増え、意欲作が多かった2013年、2014年も話題作が続々と上演決定。
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高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義
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今年上半期はボーカロイドから飛び出したニコニコミュージカル第10弾『音楽劇 千本桜』、ジブリの大作『もののけ姫』等が挙げられる。
ニコニコで話題もボカロ名曲『千本桜』はアップされてわずか1年4ヶ月で490万も再生された。しかも初音ミクに対するイメージは個々のファンによって異なる。それをライブで観せること自体画期的であるが、さらにPCでもリアルに観られるようにしたのは俳優陣にもよい影響があったように思う。舞台に上がっている俳優は自分がどう観られているのかは基本、わからない。それが観ようと思えば観られる環境にある。客観的にみることが出来る、昔は考えられなかったことである。
また、大作『リトルマーメイド』の開幕があり、こちらはフライングや華やかなステージングでファンタジーを舞台上で“再現”。チケットの売れ行きも好調ですでに約25万人動員(2013年11月30日現在)とのこと。ロングランシステムのおかげでこういった大掛かりな大作が鑑賞できるのはありがたい限りである。
ゴールデンウィークにはイギリスの劇団が来日し、ジブリ作品『もののけ姫』にチャレンジ。壮大なファンタジーを彼らならではの解釈と“作品愛”で表現していた。また、衣裳や舞台セットが“エコ”。作品へのリスペクトが感じられて好評だった。
キャスティングでは声優の同役の起用が目立った。『華ヤカナリ、我ガ一族 オペラカレイド』は宮の杜家の長男、次男、三男は声優が同役に挑んだ。声だけでなく、見た目や仕草もキャラクターとシンクロさせた役作りで、初演から半年経たないうちに再演の運びとなった。
また『心霊探偵八雲』も東地宏樹が同役に挑戦、カンパニーの引き締め役となってこちらも好評。さらにこのストーリーは舞台のオリジナルだが、ノベライズも刊行、それこそ“観てから読むか、読んでから観るか”二重に楽しめる仕掛けとなっていた。
下半期は先に書いたゲームならではのマルチエンディングが挙げられるが、その他、シリーズ化されて好評だった『銀河英雄伝説』が来年2月の公演でファイナルとなる。今年の11月公演は“前篇”、来年は“後篇”となるが、2公演に渡って完結させるのはあまり例を観ない。もともと物語が壮大なので、こういった手法は大作にふさわしいのかもしれない。
またアニメキャラクター映像と俳優、声優(声のみの出演)の3者のシンクロを試みた『ミュージカル「コードギアス 反逆のルルーシュ」A-LIVE FANTASTIC DREAM SHOW』はミュージカルでもなく、ストレートプレイでもないステージングに挑戦し、世界観を表現。従来の表現方法にこだわらない発想は評価したい。
その他、先に述べた『ミュージカル 美少女戦士セーラームーン -La Reconquista-』、キャストは全て女性。タキシード仮面に元宝塚トップスターを配し、アニメの虚構性を強調した配役で成功している。
また『サクラ大戦奏組 ~薫風のセレナーデ~』は『サクラ大戦』では描かれていないオーケストラの話だが、本家のイメージ踏襲に成功、カーテンコールでは観客総立ちでテーマ曲を合唱する光景が観られた。
国際フォーラムAで公演された朗読劇『SOUND THATRE×夏目友人帳~集い 音劇の章~』は声優陣の声の力を感じた舞台であった。チケットはソールドアウトだったと聞く。再演、再再演と何度でもやって欲しい作品である。
また、12月の『ライチ☆光クラブ』、再演ものではあるが、手直しを加えてすっきりとさせ、客席は満席、チケット完売。過激な内容ではあるが、舞台の虚構性を存分に使った演出でシニカルな笑いを交え、好評であった。
元は舞台だが、コミック、アニメと変化しての舞台化、ユニークな作品と言えよう。全般として2013年は“豊作”であり、新しいチャレンジがあった年と言えるのではないだろうか。
《animeanime》
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