女子美術大学漫画研究部では年に二回、部誌を制作しています。また月に一回テーマを決めてそのテーマに沿った漫画を描き講評会をする、通称月一会を行っており結構ハードに活動しています。今までは先輩方から漫画の描き方や原稿の作り方を教わる側だったのですが、今年から私たちが教える側になり漫画の講座をする時はかなりのプレッシャーを感じます。しかしそれも半年たち今では講座内容を考えるのも楽しみの一つとなっています。
学園祭では部員たちと作った部誌やポストカードの販売をしたり、漫画の展示もおこなっています。夏コミ、冬コミにも毎年参加しているので是非ブースに遊びに来てください!
さて、そろそろ漫画紹介に移ろうと思います。今回私は趣を変え、サクッと読めて尚且つ面白い短編集や一巻完結の漫画を紹介します!
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一つ目はこちら!藤子・F・不二雄先生の短編集、「ミノタウロスの皿」です。
藤子・F・不二雄先生といえば代表作「ドラえもん」、「キテレツ大百科」、「オバケのQ太郎」他、国民的な大ヒット作品を数々生み出した、誰もが知っている漫画家ですね。主に子供向けの作品を執筆する漫画家というイメージが強いのではないでしょうか。しかしこの「ミノタウロスの皿」は、人間の欲やエゴを題材に描いたブラックユーモア溢れる作品で全く子供向けではありません!シリーズ名が異色短編集と言うだけあって、「ドラえもん」のイメージとはかけ離れた作品ばかりです。この作品集の一部はテレビで取り上げられるなどされており、知っている方も多いのではないでしょうか。
さて、少しだけ漫画の中身を紹介しますとこの短編集、話のほとんどがSFファンタジーです。そして、今まで目をそらしていた人間の醜さを漫画を通じて読者へ訴えかけてきます。この漫画を読むことで、私たち人間の抱える問題に再度気づかされることでしょう。
まずトップを切る話は「オヤジ・ロック」!この作品はどちらかと言うと「ドラえもん」に近い話の構成で、藤子・F・不二雄先生お得意の落語のような落ちは圧巻の面白さです。
その後続く、「じじぬき」「自分会議」「間引き」は最初のコメディーチックな話とは打って変わって現代社会が抱える問題や、人間の欲むき出しのブラックな話が続きます。これがリアルで面白い!
また「オバケのQ太郎」のその後、正ちゃんたちが大人になった「劇画・オバQ」は子供の成長を描いた少し切ないお話です。子供でいたいという理想と、そのリスクに阻まれ板挟みになっている様子は私たちも共感できるところがあるのではないでしょうか。元が子供向けの作品だっただけあって、この「劇画・オバQ」は突然の大人向けの話で悲しくなると同時に、何とも言えないやるせなさに襲われることでしょう。
短編集でありながらも一度読んだら忘れられない、中身の詰まった話だらけです。読んで損はありません!是非一読してみてはいかがですか?