ミュージカル「美少女戦士セーラームーン-La Reconquista-」 片岡義朗 特別インタビュー | アニメ!アニメ!

ミュージカル「美少女戦士セーラームーン-La Reconquista-」 片岡義朗 特別インタビュー

[取材・構成: 高浩美]93年の初演以来、ファンから大きな人気を集めてきたミュージカル「美少女戦士セーラームーン」が2013年に新たなかたちで登場する。公演を手がけるドワンゴ 執行役員の片岡義朗氏に話を伺った。

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ミュージカル『美少女戦士セーラームーン-La Reconquista-』インタビュー
ドワンゴ執行役員 片岡義朗インタビュー

[取材・構成: 高浩美]

『美少女戦士セーラームーン』には
普遍性がある


■ アニメ・コミック・ゲームの舞台化のマーケット拡大中
その原点は‘91年の『聖闘士星矢』


日本中の女子を熱狂させた『美少女戦士セーラームーン』、長い時を経てミュージカルがまたまた開幕する。‘93年の初演から長く続いたタイトル、2013年の今年、あの名台詞とともにバージョンアップして満を持しての待望の“再会”となる。

今年に入ってからアニメ・コミック・ゲームを基にした舞台のマーケットはさらに拡大の様相を呈している。見込みではあるが、2013年は約200万人動員する勢いである。このジャンルでは“創世記”から地道にマーケットの拡大に努めてきたドワンゴのプロデューサー・片岡義朗は語る。
「僕の感覚ですが、このジャンルが出来たのは‘91年の『聖闘士星矢』のミュージカル化から。ですから23年の間に200万人マーケットになったんですね。当時、僕とバンダイの山科社長、趣味で舞台はよく観てました。2人でいろんな話をしてまして、共通して思ってたことは“日本のミュージカルってつまんないよね”と。ロンドンとかNYとか行くとなんか別の世界で・・・何故日本であれが出来ないんだろうってさんざん言ってた・・・。“やっぱり、自分たちで作るしかないよね”と。当時、好きで仕事にしているアニメを舞台にするのはどうかな?と考えたんですよ。それで『聖闘士星矢』やりましょうってことになりました。楽曲は佐橋さんでいろいろ話し合いましていい楽曲が出来ましたね。『聖闘士星矢』に関わった方たちが中心になって『美少女戦士セーラームーン』ができました。『こちら亀有公園前派出所』『HUNTER×HUNTER』等をやって、それから『テニスの王子様』を制作しました」
ミュージカル『テニスの王子様』は大ヒットし、『テニミュ』という愛称で親しまれ、その後のマーケットの拡大の起爆剤になったのは周知の通りである。

■ 舞台化してみたい作品は“キャラが立っていること”。
キャラクターを追求すると真実が見えてくる


舞台化する作品、してみたい作品には“ある特長”があるという。
「特に『週刊少年ジャンプ』が‘90年代に650万部以上の発行部数という記録を打ち立てた頃、明らかにある特長があったと思うんですね。それはキャラクター重視。もちろん、ドラマ性とかストーリーも大事です。背景や台詞も重要ですが、とにかくキャラクターをどうやって立たせるかっていうこと。で、こういう新しいスタイルを作ったのが『週刊少年ジャンプ』のマンガじゃないかな、と僕は思うんですね。キャラって舞台上の役者の演技に転換しやすい、“スネイク!”って言った瞬間にどういうキャラかがわかる。この瞬間、一言にどれだけの思いを乗せるか、どういうポーズを取ればいいのか、大きくラケットを振り回した時に“スネイク!”とどのくらい叫べばいいのか、そこに力を注ぐんです。そういった努力をする、キャラが立った台詞とアクションと場面が用意されている、要するに役者はどれだけその場面に集中出来るのか、そのキャラクターをモノに出来るのか、歌舞伎で言えば“見得を切る”、そこに繋がるんですね」
見せ場は必ずある。いわゆる“萌え台詞”や“キメポーズ”、観客は名場面に酔いしれ、そこに確かな“真実”を観ることが出来る。
「つまり“このキャラクターは何なんだ”っていうことを追求していくと必ず真理にぶち当たるんですよ」

『美少女戦士セーラームーン』は講談社の『なかよし』に連載されていた人気マンガ。個性的な5人の少女が悪に向かって戦う物語。“月にかわっておしおきよ!”の名台詞は日本中を駆けめぐった。
「この作品が愛されたのは時代を切り開いたからだと思うんです。男女雇用機会均等法が施行されて女性の社会進出が進んで、女性ももっと前にはっきりと出て来てもいいんだ、強くっていいんだ、悪いヤツが出て来たらやっつけてもいいんだ、と。そういう時代の空気を原作者の武内先生がたぶんどこかで感じていらっしゃって、さらに時代が後押ししたっていうことではないかと。でなかったらあんな空前の大ヒットにはならなかったと思うんですね。これだけキャラが立ってて、少女たちが“仲間のために死ねる”という覚悟で戦う。ミュージカル初演当時はキャラクターものの舞台がほとんど無かったから」

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