放送を終えた今、改めてその魅力を振り返るべくディレクターを務めたdavid production・津田尚克氏に『ジョジョ』ワールドの魅力、そしてアニメとしての『ジョジョ』について伺った。
[インタビュー取材・構成:川俣綾加]
TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』
公式サイト /http://jojo-animation.com
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―― アニメ!アニメ!(以下AA)
テレビアニメシリーズの第1、2部が放送を終了しました。全編が終わったいま、作品をどのように振り返りますか?
―― 津田尚克ディレクター(以下、津田)
自分の中での満足度はすごく高いです。みんながそれぞれ考えている『ジョジョ』があると思うんですが、僕の中にあった『ジョジョ』はまさにこれで、ベストな形で表に出せたのではと思っています。
周囲からも好評で、ほっとしました。これで評判が悪かったら、演出としての生命が終わるかもしれないところでした(笑)。 もちろん、「もっと、ああできたのに!」みたいな部分もあって、今はまだ客観的に振り返ることはできません。むしろ、10年後に見直した時に自分でもすごく面白く見られるんじゃないかなと思います。
―― AA
津田さん自身、子どもの頃から『ジョジョ』のファンだと伺いました。
―― 津田
ジョジョ歴はけっこう長いんですよ、「ジャンプ歴=ジョジョ歴」といっても間違いないです。週刊少年ジャンプを僕が読み始めたのは小学生の頃からなので、もう20年以上。
ただ4部と5部を一番読んでいて、今回制作した1部と2部って単行本がメインだったので、週刊少年ジャンプでは数えるほどしか読んだことがなかったんです。でも何十回と改めて読み返すと、あの頃はできなかった発見が山ほどあります。 1コマ1コマに色々なネタが仕組まれていたりとか、ディオとエリナのキスシーンで「ズキュゥゥゥウン」っていうのはピストルの音じゃなくてギターの音なのかな、とか。
そもそも「ゴゴゴゴ」は何の音なんだっていうのも、編集の方を通して荒木先生に質問してもらいました。あれはホラー映画にあるような環境音を文字にしているらしいです。
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■ ジョジョ好きで固められたスタッフ陣
―― AA
今回のテレビアニメの『ジョジョ』のディレクターになったきっかけも、ジョジョファンだったからですか?
―― 津田
弊社(デイヴィッドプロダクション)の副社長でプロデューサーでもある梶田浩司さんから声をかけてもらったのがきっかけです。「津田君、ジョジョ好き?」と聞かれて「大好きです!」って答えたら「実は……」みたいな感じです。
梶田さんはこのタイトルをアニメにするにあたって、「ジョジョ好き」でスタッフを固めたいと思ったようです。そこで何人かに声をかけて、ジョジョ好きで、制作実績が合致して、かつスケジュールなど他の条件がかっちり当てはまったのが、僕だったのかもしれません。
―― AA
『ジョジョ』は原作に熱狂的なファンが多くいる作品です。それだけに期待も大きいと思います。アニメ化するにあたってまず考えたことは何ですか?
―― 津田
原作ファンが怖いなって思いました(笑)。僕自身もジョジョファンなので、「つまんないジョジョアニメを作ったら容赦せんぞ!」みたいなものは当然僕の中にもあります。
奇をてらわず原作を大切にアニメ化しようと思いました。とはいっても、『ジョジョ』は原作に忠実にアニメ化すると奇をてらうことになるんですけどね(笑)。
―― AA
アニメでのストーリー展開では、サクサクと物語が進む印象でした。そういったスピード感はあえて意識されたのでしょうか。
―― 津田
そこは不可抗力もありましたね。1部と2部を合わせて24本でやってくれ、という話だったんです。それだけでは収まらなくて、26本に増やしてもらったんですが、それでも収まらなくて、「じゃあ巻きでいこう」と。多少、巻いてでも原作のシーンを一つでも多く拾う方が原作ファンは嬉しいはずだと思いました。
僕は終わり良ければ全て良しだと思っている人間なので、ラストにはとにかく間をいっぱい取りたいと考えていて。そうなると、1部はスピード感を出して駆け足に、2部はじっくり見せていこうという結論に達しました。 1部と2部で、見ている人が違った印象をもってくれたら成功かな、と思います。
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