「言の葉の庭」ワールドプレミアム ゴールドコーストの新海監督トーク:レポート
4月28日、オーストラリアのゴールドコーストで新海誠監督の最新映画『言の葉の庭』のワールドプレミアム上映が行われた。当地で開催されたゴールドコースト映画祭の企画のひとつだ。
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ゴールドコースト映画祭はジャンル映画に特化しており、期間中はオーストラリアからはもちろん、ハリウウッドの映画やドラマの人気スターが多数訪れる。この分野の一大イベントに成長している。近年は日本アニメの紹介、上映にも積極的だ。今回は話題作の監督が訪れて、自ら作品を語る貴重な機会となった。
『言の葉の庭』は、国内では5月31日に全国公開予定する。ワールドプレミアムは、これに1ヵ月先立つものになった。一般客への作品披露は、世界初だ。
ワールドプレミアの場所をあえて海外にしたのは、新海誠監督の国境を越えた人気に理由にありそうだ。日本はもちろん、世界のファンに作品を届けたいとの気持ちがここには込められているに違いない。
実際に、当日はそんな海外での新海人気を反映し、多くのファンが会場に詰めかけた。会場のチケットはソールドアウトとなり、満員の観客が『言の葉の庭』の美しい映像を熱心に観ていた。
映画上映後には、新海誠監督が拍手のなか登壇。地元のグリフィス大学のアニメーションの専門家アンディ・スパーク准教授を聴き手に40分間の作品トークを行った。
トークでは作品の背景や制作での話など、興味深いエピソードが多数語られた。本作の制作のきっかけについては「最初に言わせたい言葉があった」とのことだ。そうした断片的な言葉を言わせるために作品がつくられていった。言葉が主導という作品の面白いコンセプトが語られた。
また、キャラクターづくりについては、27歳のユキノが興味深かった。監督は、当初は彼女をミステリアスな女性とした。しかし、多くの女性に嫌な女として指摘されたことから、より細かな描写を加えた。このための女性への取材を重ねたという。
作品の中に表れる様々な隠喩についても説明があった。例えば、作品に中心となる雨について「(雨は)どうしようもなく突然降ってくるところがある」、「恋も雨と同じで、どうしようもなく振ってくるもの」といった具合だ。
物語全体に、言葉の微妙なニュアンスで含まれている映画だが、そうした背景をうまく説明することで、作品のもうひとつの見方を提示したかたちだ。これは観客に大きな印象を残しただろう。
一方で、質問のコーナーでは、美しい映像についてや50分弱という時間が無駄なくシンプルで見応えがあるとの感想、その背景について質問する姿がみられた。こうした作品への視点は、日本のファンの目線とほとんど変わりはなかった。
『言の葉の庭』は日本的な作品ではあるが、その背景とは別に作品が目指した意図が十分伝わっている様子だった。新海誠監督の世界的な人気、普遍性はここにあるのだと感じさせた。本作は今後、日本はもちろん、世界でも多くの人の心を動かしそうだ。
『言の葉の庭』
5月31日ロードショー
公式サイト /http://www.kotonohanoniwa.jp/
ゴールドコースト映画祭(Gold Coast Film Festival)
/http://www.gcfilmfestival.com/
《animeanime》
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