「サクラ大戦奏組〜雅なるハーモニー〜」前奏曲(プレリュード)からの飛翔 高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第7回 | アニメ!アニメ!

「サクラ大戦奏組〜雅なるハーモニー〜」前奏曲(プレリュード)からの飛翔 高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第7回

[取材・構成: 高浩美]■ スピンオフでも外伝でもない、「サクラ大戦奏組」は“もうひとつのサクラ大戦”■ コミックは2巻目、アニメはPV、即舞台化、即メディアミックス、「サクラ大戦奏組」は挑戦的な作品■ 舞台版もまさに“前奏曲”の段階

連載 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義
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「サクラ大戦奏組〜雅なるハーモニー〜」(C)SEGA (C)RED (C)白泉社
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高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第7回

サクラ大戦奏組〜雅なるハーモニー〜 前奏曲(プレリュード)からの飛翔

[取材・構成: 高浩美]


■ スピンオフでも外伝でもない
「サクラ大戦奏組」は“もうひとつのサクラ大戦”


大ヒットゲーム「サクラ大戦」、舞台、アニメ等になって幅広い支持を得ているが、この「サクラ大戦奏組」、時代は架空の太正時代、場所は帝都、しかも帝国歌劇団、と設定は“本家”の「サクラ大戦」と全く同じ。
ところが「サクラ大戦」で登場するキャラクターは話題にはのぼっても、決して登場はしない。これは帝国歌劇団のオーケストラの話、団員は男性が基本。
物語は、帝国歌劇団に憧れる少女が入団するところから始まる。だが、肝心の花組ではなく、男ばかりの奏組に指揮者見習いとして配属されてしまう。たいがいの“ヒロイン”は自分の夢を叶えられるが、このヒロインの“憧れの花組配属”という夢は叶わないであろうことは容易に想像出来る。とは言え、悲壮感は微塵もなく、少々ヌケているところはあるが、前向きに進んでいくところがチャーミング。
そんな彼女が配属された奏組には花組の手を煩わせることなく降魔から帝都を守るという特殊任務がある。今後の物語の展開が楽しみな“もうひとつのサクラ大戦”「サクラ大戦奏組」なのである。


■ コミックは2巻目、アニメはPV、即舞台化、即メディアミックス、「サクラ大戦奏組」は挑戦的な作品

たいていはコミックやアニメの大ヒットがあっての舞台化が“王道”。だが、この作品は2011年より「花とゆめ」(白泉社刊)で好評連載中、1巻(PV付)は9月20日発売、2巻が10月19日発売、と好調とはいえ、“歴史”は浅い。
しかし、その上での舞台化である。「サクラ大戦」の舞台は声優がそれぞれ自分の役を演じていたが、今回は舞台俳優としてキャリアがあるキャストが務めている。
連載が始まって間もない「サクラ大戦奏組」この作品自体が現在、それこそ“前奏曲”の段階であり、今後、コミック、アニメ、舞台そしてゲームがどのような展開をしていくのか未知数の部分が大いにある。単純なメディアミックスにならないことを予感させる。そこが面白く、挑戦的ではないだろうか。


■ 舞台版もまさに“前奏曲”の段階、第2弾、第3弾が気になる!

サブタイトルは“雅なるハーモニー”音楽はもう一人の“主人公”とも言える存在である。その期待通り、序盤から広がりと躍動感溢れる広井&田中の楽曲「円舞曲、君に」で物語が始まる。
キャストは若手中心だが、キャリアは十分。雅音子(ルビ:みやびねこ)役の田上真里奈は「ライオンキング」「サウンド・オブ・ミュージック」等の大作を経験。稽古場ではすでに“雅音子”そのものという存在感を放っていた。その他の主要な「奏組」のメンバー5人も各々の役柄を勢いよく演じていたのが印象に残る。
この5人のキャラクターにはそれぞれの“テーマ曲”があり、田中公平の多彩でメリハリの効いた楽曲がキャラクター像を浮かび上がらせていた。また、舞台版だけのオリジナルのキャラクター、特に奏組所属の3人は息をぴったり合わせてコミカルな場面を創っていた。ストーリーはコミックをベースにしたオリジナル、出来ればコミックを読み、チェックしながら観劇すると面白さは倍増するであろう。
今後、雅音子と奏組の仲間達が降魔とどう戦っていくのか、音子は立派なマエストロになれるのか、舞台版の物語もまだ“前奏曲”の段階、第2弾、第3弾が大いに気になるところである。


サクラ大戦奏組〜雅なるハーモニー〜
公演中〜11月11日
全労済ホール/スペースゼロ
/http://sakura-taisen.com/kanade/

[高 浩美 (こう・ひろみ)]
東京都文京区出身。
生活情報誌「レタスクラブ」にてエンターテインメント欄を担当後、演劇雑誌「ソワレ」編集、総合女性誌副編集長等を経験。テレビ情報誌「ステラ」にて宝塚や歌舞伎、能等の特集を手掛け、また書評も担当。また、東京アニメセンター広報業務にも携わり、主に外国メディアを担当した。
「MUSICAL WALKER」(角川書店)「タカラヅカ新世紀」(NHKサービスセンター)「ミュージカル新世紀☆スター名鑑」(グラフィック社・著書)「華麗なるミュージカルガイド」(キネマ旬報社)なども手掛けた。

《animeanime》

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