高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第2回 「新生ROCK MUSICAL BLEACH PEprise」 | アニメ!アニメ!

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第2回 「新生ROCK MUSICAL BLEACH PEprise」

[取材・構成: 高浩美] ■ 原作と舞台は違っていてもいい、それもまた、面白い ■ 何度も舞台化、どれも「観たくなる」仕掛けがいっぱい  ■ 2012年「ROCK MUSICAL BLEACH」はシンプルな感動物語 ■ 物語終了後はギャグ満載のお楽しみレビューで締めくくり

連載 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義
注目記事
「新生ROCK MUSICAL BLEACH PEprise」
「新生ROCK MUSICAL BLEACH PEprise」 全 1 枚 拡大写真
高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第2回

シンプルに感動出来る、「新生ROCK MUSICAL BLEACH PEprise」、しかもレビューがついて2度美味しい

[取材・構成: 高浩美]

■ 原作と舞台は違っていてもいい、それもまた、面白い

すでに観客動員数は累計15万人、「ROCK MUSICAL BLEACH」。原作は久保帯人の「BLEACH」、コミックの売上はなんと累計7500万部。舞台化だけでなく、アニメはもちろん、劇場版アニメ、ゲームも製作されている超人気作品なのである。
ところで、アニメやコミックを舞台化する場合、ストーリーやイメージをそのまま踏襲することが多いが「舞台は別物」というスタンスであえてタッチを変えたり、物語自体が原作にはないオリジナルだったり、登場人物が増えていたりすることもある。つまり、舞台上は「自由」に表現可能、ということだが、それは同時にリスクもある。ファンから「やっぱり違う」とか「これは○○じゃない」といったネガティヴな評価を受けてしまうかもしれないのだ。
しかし、そういったプレッシャーがあるにもかかわらず、舞台ならではの面白さを追求する姿勢を持ち続けることは難しいが同時に創造的な作業であることには違いない。


■ 何度も舞台化、どれも「観たくなる」仕掛けがいっぱい

この「ROCK MUSICAL BLEACH」、初の舞台化は2005年。原作は2001年から連載しているので、とてつもない長編、何度も舞台化しないとなかなか語れないのである。しかも登場人物がとにかく多彩で、どれをとっても魅力的。「ついつい」全部、観たくなるのである。
また、2011年からキャストをかなり変えているうえに、舞台版だけのオリジナルキャラクターがあり、それがどうからんでくるのか気になる。だから「ついつい」観たくなってしまうのである。まさに「仕掛けが満載」状態な「ROCK MUSICAL BLEACH」である。


■ 2012年「ROCK MUSICAL BLEACH」はシンプルな感動物語

さて今回の「新生ROCK MUSICAL BLEACH REprise」は昨年の「ROCK MUSICAL BLEACH」の“バージョンアップ”。“REprise”は音楽用語で「反復」という意味。つまり再演ということなのだが、“REpeise”と銘打っているところに制作側の意気込みを感じる。
シンプルな舞台装置と照明、映像を効果的に使って物語世界を表現。「BLEACH」を知らない観客でもすんなり物語に入れる工夫もしている。コメディシーンもあり、みどころ満載、派手な殺陣は「BLEACH」ならでは。昨年の舞台には登場していなかった浦原勘助も今回はお目見え。2幕の後半の黒崎一護と舞台だけのオリジナルキャラクター射真の一騎打ちは必見シーンと言えよう。
しかも物語は舞台だけの「BLEACH」、意外な結末、実は悪人がいないところが泣かせどころ。単純に感動出来る、シンプルなテーマ性も人気の秘密だろう。


■ 物語終了後はギャグ満載のお楽しみレビューで締めくくり
  
物語が終わったら、通常はカーテンコールで終了するのだが、「BLEACH」は違う。「ファンサービス」なレビューがついている。「BLEACH」のネタを上手く使っての「小芝居」なコントあり、でギャグの連続。感動のラスト終了後に行われるので、さしずめ、コース料理のシメのデザートのよう。最後は笑って劇場を後にしてもらおうという試みは、観客にとっては「2度美味しい」公演である。
   
これだけお楽しみどころ、感動いっぱいな舞台だと次回作を期待してしまうもの。これだけファンに「期待感」を持たせるとプレッシャーも大きくなるが、これからも、さらなる進化した「BLEACH」をみせて欲しい。


「新生ROCK MUSICAL BLEACH PEprise」
公演中〜9月9日(日)
品川ステラボール 
/http://rmbleach.com/


[高 浩美 (こう・ひろみ)]
東京都文京区出身。
生活情報誌「レタスクラブ」にてエンターテインメント欄を担当後、演劇雑誌「ソワレ」編集、総合女性誌副編集長等を経験。テレビ情報誌「ステラ」にて宝塚や歌舞伎、能等の特集を手掛け、また書評も担当。また、東京アニメセンター広報業務にも携わり、主に外国メディアを担当した。
「MUSICAL WALKER」(角川書店)「タカラヅカ新世紀」(NHKサービスセンター)「ミュージカル新世紀☆スター名鑑」(グラフィック社・著書)「華麗なるミュージカルガイド」(キネマ旬報社)なども手掛けた。

《animeanime》

特集

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]