「ハーバーテイル」伊藤有壱監督が目指す“クレイとデジタルの融合” 広島国際アニメフェス
8月26日、第14回広島国際アニメーションフェスティバルにて「作家によるハーバーテイル解説」が行われた。解説は、監督の伊藤有壱さんが自ら行った。
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当フェスティバルでは今回、国際名誉会長をアードマンのピーター・ロードさんが務めている。そうしたことから、伊藤さんは1994年の第5回大会でスペシャルゲストだったピーター・ロードさんのワークショップを受けた際の話から始めた。
続けて白組でのCGディレクター時代や、独立してI.TOONを設立した話に移った。ちょうど会社を設立した時期は、佐藤雅彦さんが制作したNECのCM『バザールでござーる』が話題になっていたのもあり「言葉にならない部分に対するこだわりに影響を受けた」と振り返った。
そして現在は東京藝術大学映像研究科で伊藤さんがアニメーション専攻、佐藤さんがメディア映像専攻の教授である縁にも触れた。
それから本題の『ハーバーテイル』の話に入った。本作の制作で「ネオクラフトアニメーション宣言」を掲げているが、これはクレイやクラフトの魅力とデジタルグラフィックスの融合を意味する。
伊藤さんはNHKのプチプチ・アニメ『ニャッキ!』などコマ撮りがメインの印象もある一方、みんなのうたの『グラスホッパー物語』なども手がけている。それらを下地に「イメージが融合するなら手段を選ばない」と「ネオクラフトアニメーション宣言」で見据えている。
『ハーバーテイル』は自社スタジオのオリジナル自主制作である。文化庁や横浜市の助成を受けつつ「内容の自由」や「作品の質を落とさない工夫」を凝らした。通常、商用として制作をする場合には「お金を出してもらう時点で売れるものでないといけない」という制約が生じるため、「仕事とは別に作品を完全に独立したもの」とする苦労があった。
そのため18分の短編ではあるが制作に5年が費やされている。これも業務の合間での制作ではあったが、最後の1年は制作に集中したという。また前日25日に同じく制作が5年のアードマンの最新長編『ザ・パイレーツ!バンド・オブ・ミスフィッツ』が上映されたことにも言及した。「アードマンの後を追うのではなく違う方向で」。
『ハーバーテイル』は「横浜で生きる理由」をテーマに、「港町は生命体ではないかと仮定して人間の側から考察」して制作された。
本作は翌27日に中ホールにおける「現代日本のアニメーション」で上映されている。なお、18日から24日まで渋谷ユーロスペースでも上映された。
[真狩祐志]
広島国際アニメーションフェスティバル
/http://hiroanim.org/
ハーバーテイル
/http://harbortale.com/
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