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このライブはスタジオ ジブリが主催、さらにアニメ製作会社のスタジオカラーが映像演出プロデュースを行う。スタジオジブリ、スタジオカラー、ニコニコ動画とアニメファンや業界から注目の高い3つが協力する異色のコラボレーションである。
手嶌葵さんは福岡出身のアーティスト、スタジオジブリが制作し、2006年に公開された劇場アニメ『ゲド戦記』の主題歌「テルーの唄」を担当、さらに同作のヒロイン テルーの声優役で注目を浴びた。7月16日に公開されるスタジオジブリ最新作『コクリコ坂から』でも、主題歌「さよならの夏 〜コクリコ坂から〜」を歌う。
今回のイベントではそんな手嶌葵さんの歌の世界を、次世代ライブハウスを謳う「ニコファーレ」で演出する。ライブは会場の来場客だけでなく、ニコニコ動画を通して全国のファンに送り届けられる。
ニコファーレは巨大ディスコ 六本木ヴェルファーレ跡地を、ニコニコ動画のコンセプトを取り入れたスペースとしてオープンする。スペースは四方の壁面、そして天井にLEDモニターが取り付けられ、中にいる人は映像の海にいるような感覚を体験出来る。
さらにライブイベント時は、そのモニターにニコニコ動画特有のコメントが映しだされる。ニコニコ動画では来場者、ネット視聴者、出演者のコミュニケーションを生みだすとしている。
「手嶌葵 360°ライヴ」では、LEDに映画のシーンを使用、武部聡志のピアノ演奏により手嶌葵さんが歌う。映像演出プロデュースのスタジオカラーは、代表取締役でもある庵野秀明監督のもと大ヒット作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを生み出した注目のアニメスタジオである。
その映像が注目されるのは勿論だが、スタジオカラーがジブリの新作映画の関連企画に参加する驚きもあり、大きな関心を呼ぶことは間違いない。
もうひとつの話題は、スタジオジブリとニコニコ動画のつながりだ。既に『コクリコ坂から』、美術展「フレデリック・バック展」など記者発表でニコニコ動画とコラボレーションしている。今回はそれをさらに推し進めるかたちだ。
スタジオジブリにとっては勢いに乗るサービスとの協業という話題性、さらに若い世代で利用者の多いニコニコ動画の視聴者層にアプローチする狙いがあると見られる。
一方、ニコニコ動画にとっては、サービスのメジャー化、ユーザーの一般層への拡大につなげる狙いがあるだろう。利用者がおよそ2000万人となるニコニコ動画は、2010年より従来の若年世代、コア層から一般層へのユーザー拡大を明確にしている。幾つかあるサービスでなく、デファクトスタンダードな存在を狙っているようだ。国民的存在とされるスタジオジブリは、新たな展開を目指すニコニコ動画にとってまさに相応しい存在だ。
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「コクリコ坂から」公開記念 手嶌 葵 360°ライヴ in nicofarre
日時: 2011年7月21日(木) 19:30開場 / 20:00開演
場所: ニコファーレ
出演: 手嶌 葵、武部 聡志(ピアノ)
映像: スタジオカラー
主催: スタジオジブリ
協力: ヤマハミュージックコミュニケーションズ/ヤマハミュージックアーティスト/ハーフトーンミュージック
制作: プロマックス
ニコニコ動画 /http://www.nicovideo.jp/
スタジオジブリ /http://www.ghibli.jp/
スタジオカラー /http://www.khara.co.jp/