映画は既に制作に入っており、2011年に北米などでDVDを発売、日本では劇場公開を目指す。日本以外でのDVD発売はファニメーションが行う。
『ドラゴンエイジ』は米国の大手ゲーム会社エレクトニック・アーツのゲーム子会社バイオウェア (BioWare)が開発をした。2009年11月に北米とヨーロッパで発売されたロールプレイングゲームソフトだ。
X-BOX360版、PS3版、それにPC版が発売された。独特な世界観や映像美、ストーリー設定の深さが両地域のファンから人気を獲得した。2011年には続編の発売も予定されるほか、ノベライズドもされている。今回のアニメ映画でも、相乗効果が期待出来るだろう。
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注目されるのは、製作のために集まったプレイヤーである。国際的なビジネスに経験が深い企業、クリエイターが並ぶ。ティー・オーエンタテインメントは、テレビアニメ、劇場アニメのほか映画や書籍など様々なコンテンツ開発をする。特に英国、韓国、シンガポール、ロシアなどに拠点を持ち国際展開に力を入れている。
OXYBOTは、CGを中心に様々な映像制作を行なう。2007年に公開された曽利文彦監督の『ベクシル-2077日本鎖国-』などが代表作である。『ベクシル-2077日本鎖国-』は、海外で大きな人気を獲得した。曽利文彦監督の参加はこうした実績を買われたものだろう。
さらに米国側の主要プレイヤーであるファニメーションは、北米最大の日本アニメの流通(配給)会社として知られる。日本アニメDVDの市場シェアは過半数を大きく超えるだけでなく、『ドラゴンボール』シリーズなどのライセンスビジネスでも成功している。
これまで同社は日本のアニメ、実写映画のライセンスを購入し、北米で展開するビシネスを行ってきた。しかし今回は、自らの企画によりアニメ映画の製作に初めて直接参加する。同社にとっては新事業への大きな挑戦だ。
ファニメーションのこれまでのライセンスビジネスは、日本でヒットした作品を主にDVDで北米展開する比較的安定したビジネスであった。しかし、映像パッケージの市場が縮小しており、今後の行方は不透明だ。製作はライセンスビジネスに較べて投下する資金が大きく、ヒットするかどうかは確実でなくリスクは増大する。ただし、一度ヒットすればリターンは従来に較べてかなり大きくなる。市場の急成長が見込まれず、その市場のかなりの部分を既に獲得しているファニメーションが、次にビジネス成長を目指す領域が製作というわけだ。
現在、日米間では、様々なアニメの共同製作、共同プロジェクトが進む。そうしたなかで、日本アニメの流通に強みのあるファニメーションが参加する『ドラゴンエイジ』は大きな注目を集めるだろう。
ドラゴンエイジ(Dragon Age) /http://dragonage.bioware.com/
ティー・オーエンタテインメント /http://www.toenta.co.jp/