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5月27日、都内のパナソニックセンター東京で、この完成した『風の谷のナウシカ』BDをいち早く紹介する完成披露発表会が開催された。発表会にはスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー、映像部技術部長の奥井敦さん、そしてパナソニック ハリウッド研究所の柏木吉一郎さんが姿を見せ、BD化に至った制作秘話などを紹介した。
一般に古いアニメーションのBD化というと、映像の汚れを取り除いたぴかぴかの画像になることが多い。しかし、今回の『ナウシカ』ではそうした方法は取らなかった。これは宮崎駿監督の意向でもあるという。宮崎監督はデジタル処理でお色直しをするのは、作品への冒涜と考えるからだ。
代わりに行われたのは、新たな作品を生み出すことでなく、26年前の映像の復元である。具体的には、プリントを焼く際についた傷を取り除くこと、経年劣化による色彩の違いをもとに戻すことだ。
トークの場で鈴木プロデューサーは、「公開時のフィルムを再現したいと思った。僕らが作ったフィルムはどうだったのかだ」と話した。そして、これを実現するならば、『ナウシカ』のBDはやる意味があるのだと語る。
そして、この場で紹介された完成したフィルムは、これまでテレビやDVDで見てきたそれとはかなり違う印象だ。「素晴らしい」と表現して間違いないだろう。確かにデジタル処理特有のギラギラ感はない、それでいながら腐海の森の中の青、王蟲の赤い眼、森の緑、全てがこれほどまで美しい映像だったのかと、あらためて感動が湧き上がる。26年前に自分たちが心を動かされた映像はこれだったのかと確認することになる。
しかし、鈴木プロデューサーによれば、実際には26年前の映像より少しだけよくなっているという。当初は、セル彩色時の色パカや重ねセルによるぼけなどは全て残す方針であった。ところが、絵がきれいになったことで、目立ってしまった色パカもあり、結局そこは多少直したのだ。
それでも26年前にあったであろうそのフィルムを見ることで、『風の谷のナウシカ』という作品が時代の流れに耐えうる普遍的な作品であることを認識することになる。
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こうした今回のBDのフィルムの成果は、奥井敦さんと柏木吉一郎さんの努力によるものだ。実際に26年前のままというオーダーはかなり厳しい要求だ。26年前の実際の体験は残っていないし、また奥井さんは宮崎監督と鈴木プロデューサーの頭の中にあるものも違うはずという。
そこで最初は何も考えずにデジタルフィルム化を行い、そこから再度スタートしたという。その後は柏木さんとのやりとりも含めて、デジタルの硬さを取り除き、フィルムを柔らかくし、当初の目標を実現した。そうした様々な苦労を経て、今回の『風の谷のナウシカ』BDは完成した。
今回、スタジオジブリにとっては、原点ともいうべき作品『風の谷のナウシカ』のBD化となったが、発売決定と同時に気になるのは今後のBDの作品ラインナップである。しかし、これについて鈴木プロデューサーは、まだ何も決まっていないとする。
ただ、『となりの山田くん』以降は全てデジタル作品なので、こうした作品のBD化は比較的やり易いと語る。そのうえで、難しい作品のあとは楽なほうがいいかなと笑った。
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『風の谷のナウシカ』ブルーレイ
発売日: 2010年7月14日
レーベル: ジブリがいっぱいCOLLECTION
発売元: ウォルト・ディズニー・ジャパン
価格: 7140円(税込)
画面サイズ: 16:9 ワイドスクリーン 1920×1080 FULL HD
音声:日本語(2.0ch/リニアPCM)
英語/フランス語/ドイツ語/韓国語/広東語/北京語(2.0ch/ドルビーデジタル)
字幕: 日本語/英語/フランス語/韓国語/中国語(繁体字・北京語)
映像特典:
■ 絵コンテ(本編映像とのピクチャー・イン・ピクチャー)
■ アフレコ台本
■ 劇場用予告編、TVスポット、プロモーションフィルム
音声特典:
■オーディオコメンタリー:庵野秀明(原画担当)×片山一良(演出助手)
■鈴木敏夫と庵野秀明の対話・
『ナウシカとエヴァンゲリオン!巨神兵の行方は?』(2009年12月収録)
封入特典:
「『風の谷のナウシカ』GUIDE BOOK」復刻保存版ミニ本(サイズ:天地9㎝×左右6.5㎝)