日本SF大賞に伊藤計劃氏 特別賞に栗本薫氏
日本SF作家クラブは、2009年第30回日本SF大賞に今年3月に逝去した伊藤計劃さんの『ハーモニー』を決定した。『ハーモニー』は完璧な医療体制国家築いたはずの近未来、その社会に襲った危機を舞台に繰り広げられる作品である。
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他の候補作品には、長谷敏司さんの『あなたのための物語』、神林長平さんの『アンブロークン アロー』、上田早夕里さんの『魚舟・獣舟』、佐藤哲也さんの『下りの船』の4編が挙がっていた。選考は日本のSF作家の集まりである日本SF作家クラブの選考委員会が行った。
作者の伊藤計劃さんは、2007年に『虐殺器官』にて作家デビューし、その高い才能にさらなる活躍を期待されていた。しかし、今年3月に34歳の若さで亡くなり、多くのファンに衝撃を与えた。
残された長編小説は多くないが、『ハーモニー』の日本SF大賞の受賞が「伊藤計劃」の名前を多くの人の記憶にとどめることになるだろう。
また、日本SF作家クラブは大賞と同時に、特別賞と第11回日本SF新人賞も発表している。特別賞には、長編ヒロイックファンタジー『グイン・サーガ』シリーズとその作者 栗本薫さんが受賞した。栗本薫さんは、今年5月に56歳で逝去している。
日本SF大賞の受賞者と特別賞の受賞者の両名が故人となった。受賞という喜びと共に、SF界が大きな才能を相次いで失ったことを感じさせる2009年となった。
栗本薫さんは若くして作家デビューをして、SF、推理小説、サスペンス、時代小説と数多くの著書を残し、その多作ぶりで知られていた。なかでもそのキャリアの初期から書き続けてきた『グイン・サーガ』は、個人で書いた小説としては世界最長とされ、名実共に著者を代表する作品であった。
著者の逝去により作品は未完に終わったが、その偉業に異を唱える人はいないに違いない。また、今年春からはテレビアニメ化され、こちらも話題を呼んでいた。
また、日本SF新人賞には、伊野隆之さんの『森の言葉/森への飛翔』、山口優さんの『シンギュラリティ・コンクェスト』が選ばれた。昨年、一昨年に続く、2作品同時受賞である。
日本SF新人賞は、才能あるSF作家、SF小説の誕生を目指して1999年より設けられている。
日本SF作家クラブ /http://www.sfwj.or.jp/
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