このジャパンプレミアに主席したのはエイブラムス監督のほか、主人公カーク役のクリス・パイン、スポック役のザッカリー・クイント、さらにエリック・バナ、カール・アーバン、ジョン・チョウという豪華主要キャストである。
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また翌13日には、舞台を六本木のグランドハイアットホテルに移し記者会見が行なわれ、満員となった会場のメディアからの質問に答えた。
今回の東京訪問が、『スター・トレック』チームによる映画プロモーションためのワールドツアー最終地だという。これまでにかなり長期間にわたったプロモーションを続けて来たにも関わらず、エイブラムス監督とキャスト陣の表情は明るく、記者会見の雰囲気も非常に盛り上がったものとなっていた。
これはゲスト陣の人柄もさることながら、5月8日に米国で封切られた本作の興行結果が既に関係者の手にも届いているためだろう。今回の『スター・トレック』は、シリーズ史上最大、かつ記録的な大ヒットになったからである。
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最初の週の米国週末興行は、3日間で7650万ドル(およそ76億円)。また全米第1位スタートになっただけでなく、既に世界23カ国で興行1位に輝いている。こうした大ヒットから、早くも本編第2弾の製作決定も発表された。
映画のヒットの理由は、映画が『クローバーフィールド』や『LOST』で知られたJ.Jエイブラムス監督の手で再構築され、全く新しいかたちで蘇ったためである。記者会見の席でマッコイ役のカール・アーバンが語った「昔の『スター・トレック』は大作感がなかったけれど、今回の映画はまさに大作の中の大作」と語った通りである。とにかく、スペクタルな見せ場の連続、超A級と呼ぶに相応しい作品だ。
しかも映画の魅力は映像だけでない。主人公カーク役のクリス・パインは、映画を「ビッグバジェトの映画なのにドラマがある。スペクタクラと人間ドラマが融合している」と映画の魅力を紹介する。
エイブラムス監督も映画の製作意図について、「アミューズメントパークに行けば誰もが絶対乗りたくなるライドのような映画。映画の中の映画を目指した」という。
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そうした今回の映画は、長年愛されてきた『スター・トレック』とは一線を画したものにもなった。エイブラムス監督は、「『スター・トレック』のファンではない」と言う。そのうえで「今回は、自分のような多くの『スター・トレック』のファンでない人のための映画です」と説明する。つまり、これまでの作品にあったファン以外への敷居の高さが取り外されている。
その一方で、映画の随所に、オリジナル作品へのリスペクトが多数散りばめられている。まさに『スター・トレック』は、全ての人たちに向けられた映画と言っていいだろう。
『スター・トレック』 公式サイト /http://www.startrekmovie.com/intl/jp/