アイズナー賞「MONSTER」候補作に 日本漫画部門も登場(4/20)
4月18日、コミコンインターナショナル(サンディエゴ)実行委員会は、アメリカンコミックスの業界賞である2007年アイズナー賞の候補作品を発表した。
このうち長編シリーズ賞にあたるBest Continuing Series部門のノミネート5作品のひとつに、日本のマンガから浦沢
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このうち長編シリーズ賞にあたるBest Continuing Series部門のノミネート5作品のひとつに、日本のマンガから浦沢直樹さんの『MONSTER』が選ばれた。
国内では『MONSTER』は1994年に「ビッグコミックオリジナル」で連載を開始し、2001年に完結している。独特の雰囲気を持つサイコホラーと緻密な物語で評価が高く、第3回手塚治虫文化大賞や第46回小学館漫画賞なども受賞している。2004年にはテレビアニメシリーズも製作された。
米国では、昨年の2月にマンガ出版社VIZメディアから発売を開始し、既に8巻までが刊行されている。また、米国の大手映画会社ニューラインシネマが『MONSTER』の実写化映画化権を既に獲得しており、米国でも評価の高い作品である。
アイズナー賞は米国のコミック文化のパイオニアであるウィル・アイズナーにちなんで設立された賞で、米国コミックスの専門家5人が選出する。米国最大のポップカルチャーイベントであるコミコンインターナショナルで発表されることから注目度も高く、米国コミックス最高峰とされることもある。
個別部門は30以上と多岐にわたるが、連載中の作品に与えられるBest Continuing Series部門は主要部門のひとつである。全体に日本のマンガがノミネートされることは珍しく、今回のノミネート入りが注目されている。
『MONSTER』以外にノミネートされた日本のマンガでは、ノンフィクションマンガ部門にあたるBest Reality-Based Work部門に『プロジェクトX:日清カップヌードル編』(生田正脚本・木村直巳画)が選ばれている。
また、旧作マンガ部門にあたるBest Archival Collection/Project—Comic Books部門に『東京うばすて山』(辰巳ヨシヒロ)、『きりひと讃歌』(手塚治虫)がノミネートされている。
しかし、本年のアイズナー賞の最大の注目は、日本のマンガに特化したBest U.S. Edition of International Material—Japan部門(海外作品米国版日本部門)が新たに設立されたことである。これまでも海外作品部門はあったが、個別の国を取り上げた部門は今回が初めてとなった。
ノミネート作品は他の部門と同じく5作品で以下の作品が挙がっている。
Best U.S. Edition of International Material
—Japan 部門ノミネート作品
『/放課後保健室』 水城せとな (Go! Comi)
『/西洋骨董洋菓子店』 よしながふみ (Digital Manga)
『/MONSTER』 浦沢直樹 (Viz)
『/オールドボーイ』 土屋 ガロン作 嶺岸 信明画 (Dark Horse Manga)
『/歩くひと』 谷口ジロー (Fanfare/Ponent Mon)
日本マンガ部門の新設は、アメリカのコミック産業における日本のマンガの存在感の増大と、アメリカンコミックスとマンガの評価機軸の違いに理由がありそうだ。現在のアメリカのコミック出版全体に占めるマンガ部門の割合から考えると、日本のマンガがアイズナー賞のノミネートに占める割合はまだまだ少ない。
アイズナー賞はその前年に発売された作品に与えられるが、アメリカンコミックスがほとんど新作になっているのに対して、日本マンガは日本国内でかなり以前に発表された作品が少なくない。実際に今回Best Continuing Series部門にノミネートされた『MONSTER』も日本の連載は終わっている。
出版発売と新作発表がパラレルに行なわれていないことは、双方を同じ評価基準で判断するには難しさを生み出す。マンガをひとつの部門に切り分けることは、そうした意味で都合が良いやりかたと言えるだろう。
/コミコンインターナショナル
/アイズナー賞
*他のノミネート作品もこちらのサイトで確認ください。
《animeanime》