
『パプリカ』は、ヴェネチア映画祭に出品される日本アニメ作品では、『ハウルの動く城』以来2作品目である。
監督の今敏氏は映画専門家やアニメーション関係者では国内外で高く評価されている。しかし、これまでは必ずしも一般的に知られて来たわけでない。また、今回のコンペティション唯一のアニメーションという異色作でもある。
ところが、およそ1000人を収容する会場のチケットは1時間で売り切れるなど作品への関心は極めて高かった。
さらに公式上映後の会場では、大歓声とともにスタンディングオベレーションが5分間以上続くなど高い熱気に包まれたという。また、それと伴に地元マスコミからの評価も高まっている。映像の手法でなく、作品が優れていれば自然に評価されるごく当たり前のことを国際的な舞台で証明したかたちとなった。
これまで上映された主なコンペティション公式作品のなかでは、オープニング作品にもなった『ブラック・ダリア』は事前の期待ほどの評判を得ることは出来なかった。一方で、ダイアナ妃とエリザベス女王に関する話を扱った英国の『クィーン』が、熱狂的な支持を集めている。
今後の上映作品の反応にもよるが、現段階では『パプリカ』は上映作品のなかで高い評価を得た作品のひとつになっている。
また、公式上映に先立って公式記者会見も開催されている。記者会見のなかでは、ヴェネチア映画祭への印象や筒井康隆氏の原作について、『千年女優』でも見られた映画の中で展開する映画についてなどの様々な質問がだされた。
今監督は物語の多重構造については、生活の中の現実と頭の中で行っている事は同じではなく、現実の進行と夢の中をパラレルで同時進行させることに興味があると説明した。

想定する客層については「商業的な味覚は得意な方ではない。むしろどこかにいる自分のような人に対して作っている。すると自分が年をとればもっとおとな向けになるのだろうか?決して子供向けではないので、せめて高校生から上だろうか?」と、今回の作品が大人向けの作品であることを述べた。
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/ヴェネチア国際映画祭