『日本発ゲームの新しいフェーズ(プラットフォームと表現)』講演会レポート
GLOCOM(国際大学グローバルコミニケーションセンター)が『コンテンツの現在「日本発、コンテンツの可能性と課題を探る――国家戦略となったコンテンツ、創造・産業の現在」』と題した連続講演会を実施している。今回はその第4回目としてゲームアナリストの平林久和
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講演は3部に分かれており、最初に平林氏がゲームアナリストの立場からゲーム産業の現在を説明され、続いて水口氏が自ら関わった作品を用いて90年代以降のゲームのトレンドを追った。最後は、お二人の対談、そして会場からの質問でしめるという非常に盛沢山で充実した内容だった。
僕の興味はゲームそのものでなくゲーム産業にあるので、平林氏の講演は現状を知るうえでの知識を得られると同時に、ゲーム産業の今を考えるいい刺激となった。平林氏は、冒頭からコンテンツ産業の育成としてゲームがよく取り上げられるが、ゲーム産業を本当に手本にしていいのか考えるべきと述べた。そのうえで、日本ゲームが、現在はむしろ押され気味で、本当に日本発を行なっていたのは90年代前半であったとした。また、ゲーム機やゲームの出発点は全て米国にあること、現在、日本発で売れているのはハードウェアが中心であると解説した。
現在の日本ゲーム産業の特徴は、マニアに支えられた市場であること、ゲーム離れと言われているのはハードでなくソフトが中心であること、ハードそれ自体がソフト化しているとまとめた。
また、昨年、世界で最も売れたゲームソフト『Grand Theft Auto: San Andreas』を例に出し、世界の人気ソフトがこれまでの文脈にとらわれない自由な発想をしているのに対して、日本のゲームはゲームの文脈にとらわれる点で世界と異なるとした。また、海外の企業がプロジェクトマネジメントに優れているのに対して、日本のゲームは職人っぽさがある点も世界と日本の違いとしてあげた。
水口氏の講演は、過去の作品を観ながらということであったが、これまでゲームにほとんど縁のなかった僕には初めて観る作品ばかりで純粋に楽しめた。特に、幾つかの音楽をテーマにした作品はやってみたいと思わせるに十分な作品で、これまで、ゲームをやって来なかったことが少し悔やまれた。
今回の、講演会では日本発ということがテーマであったため、世界市場で存在感が薄まっている日本のゲーム産業がテーマになるのでないかと考えていた。しかし、そうした話題は、最後の質問で出た時に以外はあまり深く触れられなかった。逆に言えば、そうした話題は2、3年前に終わったものなのかもしれない。現在は、そうした状況を前提にしたうえで、ゲームの未来を考えて行く時なのだろう。
水口氏がそうであるように、優れた才能は国境とは無関係に仕事を行なっている。つまり、未来のゲーム産業は国対国ではなく、国境を越えた企業同士の競争であるのでないだろうか。あるいは、さらに個人やチームでの戦いなのかもしれない。
2005年2月7日(月)午後2時~5時
水口哲也氏(ゲームクリエイター キューエンタテインメント代表取締役)
平林久和氏(ゲームアナリスト インターラクト代表取締役)
主催:GLOCOM(国際大学グローバルコミニケーションセンター)
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