「君の名は。」のヒットと巨大化した中国映画市場 | アニメ!アニメ!

「君の名は。」のヒットと巨大化した中国映画市場

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(c)2016「君の名は。」製作委員会
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「君の名は。」のヒットと巨大化した中国映画市場
【文・劉文兵】

12月2日より中国で封切られた『君の名は。』が大ヒット上映中とのニュースが、マスコミ各社に大々的に報道されている。
中国の映画市場は2012年、日本を抜いて北米映画市場に次ぐ、世界第2位に上り詰めた。2015年の時点で日本の4倍に相当する市場規模にまで急成長してきた。『君の名は。』の中国でのヒットをきっかけに、この巨大市場に強い関心を抱く日本映画人は少なくないだろう。
2016年、中国における日本映画の上映に大きな転換点が訪れた。『君の名は。』をはじめ、年間、11本の日本映画が立て続けに中国全国で公開され、その数は史上最多を記録した。日本映画ブームを引き起こした起爆剤の一つは、前年度の中国でヒットした『STAND BY ME ドラえもん』であるように思われる。同映画は、中国で米国以外の外国映画の年間興行成績第一位(約90億円)という快挙を成し遂げ、そして、そのヒットにあやかって、日本アニメが次々と輸入されるようになったわけである。

■日本アニメの安定した観客層

しかし蓋を開けてみると、公開中の『君の名は。』を除いて、2016年に公開された8本の日本アニメは、いずれも『STAND BY ME ドラえもん』ほどの大ヒットに至らず、興行収入はよくても20億円止まりになっている。
また、『君の名は。』を除いて、これらの日本アニメは日本で封切られてから中国で公開されるに至るまで、半年か、一年ほどのタイムラグがあったため、そもそも新作映画としての勢いに欠けている。『STAND BY ME ドラえもん』のヒットはむしろ異例なことだったと専門家は見ている。
それでもこれは配給側にとって満足のいく結果のようだ。数百万米ドルを下らない新作のハリウッド大作映画のライセンス料と比べて、これらの日本アニメの上映権料は激安である。
さらに、中国における年間映画観客動員数(2015年度)は約12億人、その平均年齢は22歳未満である。彼らの多くは少年時代に『聖闘士星矢』、『ドラゴンボール』、『ドラえもん』、『クレヨンしんちゃん』、『ちびまるこちゃん』、『ONE PIECE』、『NARUTO』を、テレビ放映や、映像ソフト、コミック、インターネット配信といった公式的な回路、または海賊版などの非公式的な回路をつうじて、浴びるほど観ていた。これらのTVアニメやコミック原作の劇場版は、彼らの懐かしさを誘うことで、安定した集客力をもっている。そのため、たとえヒットに至らなくても、今後も日本アニメの中国への輸入は続く見込みである。
いっぽう、日本とほぼ同時公開、しかもオリジナル作品である『君の名は。』のヒットは、日本アニメの中国輸出に舵を切り、新しい方向性を示してくれた。今後、若い観客層をターゲットしたオリジナル作品や、日本での公開時期とのタイムラグを短縮した最新作はさらに増えていくだろう。
とはいえ、競争の白熱化する中国市場にあって、「クールジャパン」の代名詞である日本アニメも必ずしも「安全パイ」ではない。そして、日本の実写映画の受容はさらに厳しいものである。




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《劉文兵》

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