「あおおに ~じ・あにめぇしょん~」前田地生監督インタビュー「アニメでは毎回ゲームオーバーにしようと思いました」 | アニメ!アニメ!

「あおおに ~じ・あにめぇしょん~」前田地生監督インタビュー「アニメでは毎回ゲームオーバーにしようと思いました」

インタビュー スタッフ

「あおおに ~じ・あにめぇしょん~」前田地生監督インタビュー「アニメでは毎回ゲームオーバーにしようと思いました」
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フリーゲームを遊びながらプレイヤーが実況を行う動画、いわゆる「ゲーム実況動画」で取り上げられ、インターネット上で話題となった作品『青鬼』。それをテレビアニメ化した『あおおに ~じ・あにめぇしょん~』の放送が10月よりスタートする。小説化・実写映画化とこれまでにメディアミックスが行われてきた『青鬼』をアニメ化する構想は以前からあり、その製作を担当するスタジオディーンは本作の監督として、『わしも-wasimo-』『リルリルフェアリル』のエンディングアニメーションなどを手がけた前田地生氏にオファーをかけたという。このたび、アニメ!アニメ!は本作が初監督作品となる前田氏にインタビューをすることができた。本稿では、フラッシュアニメや脱出ゲームの文化に造詣が深い前田氏のパーソナリティや、本作にかけるこだわりが垣間見えたインタビューの模様をお届けする。
[取材・構成:キャプテン住谷]

『あおおに ~じ・あにめぇしょん~』
http://aooni-anime.com/tv/

■『あおおに ~じ・あにめぇしょん~』をコミカルに仕立てた理由と狙い

――まずは、本作の監督を引き受けることになった経緯から教えて頂けますでしょうか。

前田地生監督(以下、前田)
『青鬼』の短編アニメ製作が既に決まっていて、「脚本から丸ごとお願い!」ということでお声をかけて頂きました。というのも、僕はテレビアニメを監督として一から作るのは初めてですけど、ニコニコ動画でフラッシュアニメを公開していたんですね。そんな僕の得意分野をプロデューサーさんたちがご存知で、今回のお話を頂くことができました。

――短編アニメ化するにあたり、アニメならではの表現や挑戦について教えてください。

前田
それにはまず、『青鬼』について説明する必要があります。『青鬼』はnopropsさんが作ったゲームで、キャラがすぐ死んでしまうんですね。nopropsさんは他にも脱出ゲームを多く手がけていて、『青鬼』自体にも謎解きの要素が盛り込まれている。これは僕の予想ですが、nopropsさんは『青鬼』を脱出ゲームとして作ったのではないかと思っています。それが予想外の方向からヒットしたのが『青鬼』ではないでしょうか。

――なるほど。

前田
これまで小説化や実写映画化などメディアミックスされてきた『青鬼』ですが、これをゲームではない何かにおこすのは大変だったと思うんですね。ゲームそのままではネタバレになってしまうし、キャラが脱出ゲームをやっている姿をただ表現したところで面白味を感じてもらうのは難しい。だから、ある程度の要素を残しつつキャラを掘り下げるといった方向性のものが多かった気がします。ゲームにはほとんどキャラクター性はありませんでしたから。小説では原作にいなかったキャラが登場していたり、映画も基本的にオリジナルな作品となっていました。

――その上で、アニメではどのようなチャレンジがありましたか?

前田
このお話を頂いた時点で、偶然にも僕は『青鬼』という作品をプレイして知っていました。ゲーム実況なども見ていたし、一緒に取り組むスタッフにも知識があったんですね。だから今度は、ある程度原作に忠実に、要素を抜粋していって原作ファンの方にも楽しめる感じにしてみたかった。『青鬼』がヒットしたのって2009年から2012年頃なんですけど、この2016年には『青鬼』自体知らない人もいっぱいいるだろうし、そういう作品について前情報がない状態の人にも原作の要素があるものを見せたいって思いました。かといって、ホラーにはしていないんですけどね(笑)。

――作品の方向性としてはコメディになるのでしょうか?

前田
完全にコメディです。ホラーコメディって言うんでしょうか。テレビアニメって、ちょっとエッチなシーンやギリギリな表現を盛り込むと、後から"光"で隠されてしまう。あれを入れられないギリギリを目指しました。原作はドット絵だからハッキリと描かれないんですが、青鬼とはち合わせした女の子がグチャグチャになっているであろうシーンとか、メインキャラが首を吊ってるとか。できるだけ見せたいところではあるんですが、いかんせんテレビなので……。自分たちからギャグとして、「これは仕方ないんだよ」とわざとらしくモザイクを入れたり。そういうギリギリを目指して挑戦しました。


――ビジュアルがコミカルな作りになっているのも、そういう意図があるのですね。

前田
フラッシュアニメって、1枚1枚作画する通常のアニメと違い、既にパーツがあるものを多関節で動かしている。そんなフラッシュアニメの性質とコミカルな動きの相性が良いのと、内容がちょっとグロテスクなものなので、キャラの頭身がリアルだと規制の対象になりやすい。上手く中和できるポイントがピッタリと合ったんですよね。こんなコミカルなキャラたちが血をドバッと出したところで、かわいくできるんじゃないかなと。もちろんそれが怖いと言う人たちもいるとは思うんですけど、放送できるくらいにはなるかなって(笑)。

――原作ゲームの魅力を、アニメにどのように織り込もうと思われましたか?

前田
『青鬼』をプレイしてみると分かるんですが(キャラが)すぐ死ぬんですよ。「ここで青鬼が出てくるな」って分かる規則性もあるんですが、急に出くわして死んでしまったり。だから、アニメでは毎回ゲームオーバーにしようと思いました。毎回別のプレイヤーが、別の『青鬼』をやってるイメージですね。その中で起こるドタバタを描いています。青鬼に殺されたり、それ以外の原因で死んでしまったり。たまに生き残ったりと、その様子を面白く見せたかった。アバンが30秒、エンディングが30秒あるので、本編は実質2分となっているのですが、その2分間にとにかくキャラがしゃべる。意図的に作った間以外は声優さんにずっと声を吹き込んでもらいました。本当にガツガツに詰め込んだので、アフレコ現場で「いくら声優さんが上手くてもこの秒数は無理!」と音響監督に言われて、その場で台本を修正したこともありましたね。

――かなり密度の濃い作品となりそうです。そんな声優さんたちの演じるキャラクターですが、デザイン面でのポイントはどんなところになりますか?

前田
キャラの頭身を高くするか低くするか、それすらも決まっていなかった時に上がってきた原案を見て「頭身の高いキャラだと、2分間のアニメにした時に動かしにくいかも」と思いました。そのため、キャラを低頭身で作っていくことを決めましたね。後は、できるだけ原作を知っている人たちへ向けた作品にしたかったので、元々のキャラデザインを活かしたものにしています。『青鬼』のキャラたちはドット絵と、会話をする時に映る顔の絵しかなかったんです。『青鬼』のバージョンは今6.23(※)なんですけど、5.2までは顔の絵がオリジナルのものではなかったんですね。6.0からそれが一新されて、全員統一性のあるものになった。一方で、バージョンの変化にともなって多少の変化はあるものの、ドット絵は3.0以降ほとんど変わらない。原作者のデザインと、(キャラクター原案の)坂井久太さんのデザインと、ドット絵のかわいさも考えてデザインしました。
※2016年9月28日時点

――青鬼もかわいくデザインされていますよね。

前田
そうですね。もっとグロくしても良かったのですが、ほかのキャラに合わせてみました。ふわってぃーは元々のデザインとあまり変わっていないですけども(笑)。

――ひろしたちのデザインについて、特別にこだわったところはあるのでしょうか?

前田
みかにピンクのカーディガンを着せたりとオリジナルの要素も盛り込んでいますが、基本的には原作にのっとっています。ひろしはマフラーとメガネが絶対必要だな、とか。たくろうの場合は不良のリーダーみたいな感じを出したくて髪にメッシュを入れていますが、後ろで髪を縛っているようなところは原作のドット絵で表現されているんですよね。たけしは一番分かりやすい元の絵があったので、それを参考にデザインを興しました。


――キャストさんに対する演技のディレクションなどはされましたか?

前田
キャラの絵にイメージが合うよう、オーディションでは声優さんの名前を見ずに声だけを聞いて判断しました。それくらいキャスティングの時点でこだわったので、いざ演技をしてもらう段階ではこちらから何かオーダーをすることはなかったですね。「たけしは見た目の割にヘタレなので、ずっとヘタレでいてください」「ひろしはいつでも冷静沈着、たくろうは皆のリーダー格です」など、キャラの設定をより詳しくお伝えした程度です。本当に皆さん、作品を良く理解してくださっていました。

――実際に声が吹き込まれた作品を見て、いかがでしたか?

前田
何度も何度もチェックをしているので、作っているものが本当に面白いのか、段々分からなくなってくるんですよね。コメディ作品を手がけている方は、皆さんそうおっしゃるのですが……(笑)。アフレコ現場で声を入れて頂いた時「ああ、この人たちに頼んで良かった!」と思ったのが率直な感想です。

(次ページ:前田監督のホラー原体験とフラッシュの結びつき)
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《キャプテン住谷》

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