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気鋭のアニメ制作会社「絵梦(えもん)」日本本格参入から見えるものとは? 代表取締役・李豪凌が語る

「HAOLINERS」という言葉をご存じだろうか。中国のアニメーション制作会社「絵梦(えもん)」が設立したアニメーションブランドの名前であり、日本ではこのブランド名で2016年12月までに4タイトルのテレビシリーズが放送されている。

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気鋭のアニメ制作会社「絵梦(えもん)」日本本格参入から見えるものとは? 代表取締役・李豪凌が語る
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■日本のアニメ業界に感じた壁

――業界に入るきっかけというのはやはり世界共通なのですね。それでは話題を変えて、東京絵梦のことを伺わせてください。今年一年、絵梦では日本のテレビでアニメシリーズの放送を行ってきました。どういった成果があったのでしょうか。


この一年、日本ではいい面、悪い面含めて豊かな経験をさせていただきました。海外の会社がいきなり日本市場に飛び込んで右も左も分からないままやっていたわけですから。アニメーション制作の運用を中国と同じ感覚でやろうとしましたがなかなかうまくいきませんでした。それでも私たちのオリジナル作品やテンセント(中国の大手インターネット企業)を代表する作品もある程度のクオリティを保ちつつ放送できました。利益だけではなく損失もありました。ここには私たちだけの問題ではなく、日本のアニメ業界にもいくつかの問題点があるように思えます。新しく市場に入る人間が避けて通ることはできないものでした。今後はこれらの経験を活かして成長していきたいと思います。

――問題点とはどういったものでしょうか。


コミュニケーションはまず大きな問題です。それから習慣・文化の壁を感じました。そして、法律です。日本に来て驚いたのですが、請け負いの契約をする際、契約書を交わさないんですよね。私たちにとっては紙が一枚あるかないかだけで身を守る手段の有無に関わると考えています。日本は口約束だったり、契約書があっても内容がアバウトだったりして、後々問題に発展しかねないなと思いました。

もうひとつ大きかったのは投資です。中国では会社で仕事をしてくれる人には十分な福利厚生と十分な給料を用意するんです。日本で会社を運営するノウハウがほとんどありませんでしたから、いい環境で働いてもらおうとかなり人件費に投資をしました。後から日本のアニメーターさんは一つの会社に正社員として働くことがほとんどないと知りまして、そうだったのかと。この一年はいろんな問題にぶつかりました。

――いい関係を築けるような相手には出会えましたか?


テレビアニメ『霊剣山』を担当しているスタジオディーンさんや、大きな会社ではないながらも『チーティングクラフト』(※)を制作したBLADEさんなどは非常にポジティブな関係を築けましたし、信頼しています。また『TO BE HERO』(※)で日本語監修をしてくださったワタナベシンイチさんも常にコミュニケーションを交わしていろいろなアイデアを出してくださいました。


※『チーティングクラフト』『TO BE HERO』の2作品はHAOLINERSブランドのアニメーション作品。2016年10月~12月まで1話あたり10分程度の作品として、同一時間帯で放送された
※『TO BE HERO』(監督・李豪凌)は中国で制作され、日本語監修を『エクセル~サーガ』などで知られるワタナベシンイチが担当した
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《細川洋平@アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.biz》

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