「東方Project」商業・海外展開の裏側、その背景には時代の変化が 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「東方Project」商業・海外展開の裏側、その背景には時代の変化が

これまでZUN氏の意向で商業展開は一切行われてこなかった『東方Project』。その状況が一気に変わったのがプレイステーションで展開されている「Play,Doujin!」というプロジェクトだ。

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◆『東方』文化は素晴らしいから海外に出るべき



東方紅輝心

――「Play,Doujin!」では海外展開も行われていますが、これはプロジェクト立ち上げ時点から構想があったのでしょうか。

江崎:「海外展開をしたい」というサークルさんが出てきた時に、「僕らはそれを実現できる方法を考えましょう」というのはありました。海外展開が実現したきっかけとしては、以前「プレコミュCafé」というプレイステーションの生放送番組で日本一ソフトフェアさんの方にご挨拶する機会がありまして、その時に「海外版ローカライズもできますよ」というお話を伺ったんです。日本一さんといえばキャラクター展開も非常にお上手なので、『東方』の海外展開をお手伝い頂くことはできますかと伺ったところ、とんとん拍子に進みまして。

──なるほど、日本一さんとの出会いが海外展開へのきっかけだったと。

JYUNYA:あと海外展開については、知り合いが以前から「『東方』の文化は素晴らしいから文化として海外に出るべきだ!」って言っていたんです。“個人から世界へ”みたいなことをやれればいいねと。僕もそれを聞きながら「コミケで日本デビューして、そこから世界へってカッコイイな」って思っていて、その流れで日本一さんと出会ったというのが大きかったと思いますね。

――ちなみに『東方』って海外での認知というのはどんな感じなんでしょうか。

江崎:結構認知されているんですよ。アニメイベントにZUNさんが出るって情報が出ると、かなりお客さんが来るし、『東方』のファンイベントも開かれたりしています。あと日本の即売会に海外の方が来たりしますね。中にはコスプレされている方もいたりして。なので、海外ファンの認知度は高いと思います。海外にローカライズされていないゲームも有志による翻訳を頼りに遊んでいるという状況なので。それに海外ではしっかりした『東方』のwikiも存在していて、キャラクターも一通り英訳されています。

響谷:うちも海外版を作る際には海外の『東方』wikiを参考にしていますね。

JYUNYA:海外の方が海外版『東方』wikiの用語を使っているから、変に翻訳するよりもそれに合わせるっていう感じです。『東方』用語は『東方』wikiを踏襲し、それ以外の単語は普通に翻訳しています。例えば、東方のスペルカードや東方由来のアイテムがあったら、そのまま訳さずにローマ字読みで読ませてくださいと。まぁ、どこまでが『東方』のアイテムなのか、って部分もあるんですが。


幻想の輪舞 海外版

響谷:ウチがAQUASTYLEさんと違う部分としては、1本目は自分のサークル内で翻訳して、それを日本一さんに編集してもらいました。次回作では最初から日本一さんにお願いしようと思っています。

――『東方』は和ゲー色が強いのでローカライズする際の翻訳に関するエピソードは色々ありそうですね(笑)。

JYUNYA:一番苦労したのは漢字一文字の表現。例えばローグライクのアイテムで「金」「徳」「力」といった印一文字ありますよね。それらを翻訳して「Power」だと文字がはみ出すし、略して「P」としてもPを意味するものはいっぱいある。それで海外の方にリサーチしたりして、協議の結果「PH」や「PW」と二文字でいこうと。そのまま漢字一文字でもいいかなとも思ったんですが、例えば僕らがハングル一文字で書かれたものを脳で記憶できるかっていうと違うなと。僕らは日本人だから日本語をデザインですと言い張れるけど、全く知らない言語だったらデザインとして見ることができませんよね。

──言語の違いは悩ましい海外に移植する際は悩ましい問題ですよね。

JYUNYA:あとはUI関連の縦書き部分も悩みましたね。和風感を出すために縦書きを使ってたんですが、それをどう訳したもんかと。横書きの英数にする手もありましたが、僕らは日本人で僕自身のためにゲームを作っているのに、海外表記のためにデザインを変えるのは何か違うんじゃないかと思い、でデザインを変えずに英文字を縦に書いちゃおうと。見辛いんですけど、これは和ゲーなんだから迷ってもしょうがないってことで。


チヒロ:うちのゲームでは、ステージのテクスチャの中に屋台に書かれた“りんご飴”等の日本語がいくつかあったんですけど、そこはもうゲームと関係ないところなので、日本の文化として、そのまま出させてもらいました。例えば目的地の看板の名前とかゲーム中に読めないと困るものだけは翻訳していますね。

響谷:彼らは和ゲーである『東方』の世界を感じたくて買うんだから、その世界を崩してまで向こうに合わせるのも違うんじゃないかとも思うんですよね。結果はわからないですが、これは海外のユーザーさんに聞いてみたい部分でもありますね。
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《風のイオナ(シティコネクション)@INSIDE/www.inside-games.jp》

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