アニプレックスの新デジタル視聴サービス「Viewcast」はどうやって誕生したか 開発者インタビュー 3ページ目 | アニメ!アニメ!

アニプレックスの新デジタル視聴サービス「Viewcast」はどうやって誕生したか 開発者インタビュー

アニプレックスが、2016年3月、新たな映像サービス「Viewcast」を発表した。今回その中の二人、高橋祐馬氏と中山智之氏に、「Viewcast」の誕生とそのコンセプトについて伺った。

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左)高橋祐馬氏、右)中山智之氏
左)高橋祐馬氏、右)中山智之氏 全 6 枚 拡大写真
■ 映像商品の進化、それが「Viewcast(ビューキャスト)」

AA
今回のアプリは完成形に近いイメージなんですか? というのは新たな対応商品が出てくると思うのですけど、そのときにこれがフォーマットになればと量産化しやすくなります。

中山
映像、音楽、ブックレット、まずはこれらをベーシックにデジタル化出来ているので、そこに当てはまるものは当然このまま提供していけます。そこに外れるようなものが出てきたときには、同じインターフェースでどうやって提供するかを考えなければいけません。
映像や音声から外れるものは……、高橋さんはそういうアイデア考えそうじゃないですか(笑)。

高橋
そうですね(笑)。

AA
サービスインからこれまでの反響はどんな感じなんでしょうか?

高橋
日本のアニメではほぼなかったサービスなので非常に喜ばれていると感じています。サービス全般へのリアクションも、シンプルに「便利」というだけでなく「こういうのがあるなら買おう」という声も頂いています。加えるなら視聴スタイルの面でも、例えば「ここさけ」で言えば、「じゃあ秩父に行って、聖地で見よう」といった、付加価値のある外出先で観られるという視聴スタイルの新しい可能性にも繋がっています。

abesanAA
確かに聖地で本編映像や絵コンテなどと比べながら「このシーンだ」みたいなのは楽しそうです。

高橋
それは最高ですよね。外出中のちょっとの待ち時間に観るみたいなことを含めて、新たな価値観を提供できている手応えを非常に感じています。とはいえ新しいサービスなので、これからゆっくり広げていく感じですね。ただ、対応商品第2弾として「暦物語(6月29日発売)」が決まっていますし、発表はこれからですが、更に数作品の対応がほぼ決まっています。

AA
Viewcastを入れたことで「こんな魅力が増した」という点は何ですか?

高橋
一言でいえば「映像商品の進化」だと思っています。イノベーション(革新)ですね。極端な例えですけれども、固定電話が携帯電話になってすごく変わったじゃないですか、映像商品においてはそれぐらいのインパクトがあると思っています。これまでは自宅だけで固定されていた映像(商品)が外で観られる、移動中に観られる、友達の家に行ったときに「こんな作品が好きでさ、ちょっと観ようよ」という事も可能になる。それに加えて、特典まで含めた全てのデジタル化は業界初だと思うので、これから先のいろんな発展性も感じています。

AA
映像ソフトの形は今後変わっていくだろうと思います。「Viewcast」も含めて、次はどういう展開が考えられますか?

中山
商品仕様そのもののイノベーションを考えていきたいです。例えば特典映像やコメンタリーといったものは、ある時から誰かが始めた新しい特典ですよね。特典CDも、すごく分厚いブックレットも同様で、最近はゲームなどの新たな特典もあります。映像商品は、作品における最高峰のファンアイテムとして常に誰かが進化させてきました。「Viewcast」を実装することによって物理的な制約が解かれます。するとさらに新しい可能性が広がります。例えば、複数のキャラソン音源を用意して選んでもらえるかもしれない。購入者限定視聴の生放送をできるかもしれない。外部のアプリと連携して何かができるかもしれない。今までは絶対にできなかったアイデアもこのサービスによって見えてきています。

高橋
先ほど、外で楽しまれる方が聖地(秩父)で、というお話がありましたが、例えば、本編のある場面のその場所に行ったら特別な映像が流れる、みたいな事も、GPSと連動することで可能になるかもしれません。「それはパッケージを持ってないとできない」という新しい楽しませ方を考えられます。とにかく、今よりも圧倒的に、購入したものに触れる機会を増やせる可能性があると感じています。

中山 
ええ。そんな気はしますね。せっかく買っていただいたものなので、「Viewcast」が、今まで以上に作品を楽しめる役に立てたら嬉しいですね。

AA
作品をもっと長く楽しむみたいな。

高橋
仰る通りです。「Viewcast」の最大の特徴は「いつでもどこでも、気軽に観られる」ということだと思っています。仕様や特典のイノベーションももちろんなのですが、最も大事なのは「観てもらうこと」です。人ぞれぞれ、繰り返し何度も観る映画ってあるじゃないですか。だから、そんな風に、より好きになっていただける、触れられる入り口になると嬉しいですね。
繰り返し観て、より好きになって、また同じ監督さんや同じチームが新たな作品を創ったときには、その情報も届けながら、前の作品を更に好きになるといった、良い循環の様なものが生まれて、それがアニメ全体の発展につながっていくと素敵だなと思っています。

AA
本日はありがとうございました。
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