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水木一郎インタビュー 東京アニメアワード2016アニメ功労部門受賞“アニソン一筋で歌い続けてきてよかった”

アニメソング界を代表する歌手・水木一郎氏が、東京アニメアワードフェスティバル2016「アニメ功労部門」を受賞した。受賞の感想から、45年間アニソン一筋で歌い続けられた理由、アニキから見た現在のアニソンシーンまで、幅広く語ってもらった。

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水木一郎インタビュー 東京アニメアワード2016アニメ功労部門受賞“アニソン一筋で歌い続けてきてよかった”
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■アニソンは日本が世界に誇る文化

――水木さんは、国内だけでなく、アニメ・アニソン文化を世界中に広げたことも大きな功績だと思います。

水木
それは、やはり日本のアニメが世界中で愛されているからこそですよ。もともと「日本人がどんなに頑張っても世界で認められるのは難しい」と思っていたんですよ。でも、あるとき「海外ではもうずっと前からアニメが放送されていて、水木さんの歌も人気ですよ」という話を聞いたんです。まさか、と思いましたね。後に海外公演でそれが現実だと初めて知りましたが、日本語のままで世界に通用するとは思いもしませんでした。僕の歌を聴いて育った子どもたちが世界中にいたことは嬉しい驚きでしたね。アニメソングに魅せられたのは、アニメファンだけではありませんでした。ディミトリ・フロム・パリというフランスの有名なDJからオファーがあって、『マジンガーZ』のエンディングテーマをセルフカバーしたんです。ディミトリは当時、番組自体は見ていなかったようですが、レコードをジャケ買いして聴いてみたら「すごく良い曲だ!」と。それでイギリスの偉大な歌手、トム・ジョーンズに話を持っていったりもしたものの、やはりオリジナルシンガーに歌ってもらおうということで、ダメ元で僕のところに話を持ってきた。日本の子どもたちのために作られたアニメソングは、海外のアーティストが一目を置く音楽性も兼ね備えていたんですね。

――アニソンアーティストが海外でライブを行うのは今となっては珍しくありませんが、水木さんはその先駆者でもあったと思います。

水木
ぼくが最初に海外でアニソンライブを行ったのは、2001年の香港でした。ミッチ(堀江美都子さん)と一緒に2日間ね。海外でアニソンが人気だとは聞いていたけど、実際に行ってみるまでは半信半疑でしたね。

――海外へも積極的に行かれるようになったのは、そのときの衝撃が大きかったからですか?

水木
うん、もうびっくりしたね! 会場のみんなが日本語で一緒に大合唱するんだからね。ライブが始まって早々に、スタンディングオベーションで拍手が鳴りやまないから、次の歌が歌えなくなっちゃうくらいだったよ。ファンからの反響もすごかったし、こんなにも多くのメディアが集まるのかと驚いた。街を歩いていても、ふつうに声をかけられて「え、なんで知ってるの?」みたいな(笑)。ネット社会になって、過去の記憶を今の情報で補うことができるようになったからかな。最近ではウィキペディアに「水木一郎」の解説が90言語で掲載されているというのも、おもしろい現象だよね。

――海外ファンの盛り上がりを肌で感じていかがですか?

水木
日本で最初にアニソンブームが巻き起こったころの「激しさ」みたいなものを感じるね。興奮し過ぎて泣いちゃってる人もいるし。きっと「子どもの頃から聴いていた歌だ!」という感動と、「まさか目の前で聴ける日が来るとは思わなかった」というプレミアム感があるんだろうね。
あと、『マジンガーZ』はどこの国でも盛り上がるんだけど、国によって人気のある歌が少しずつ違うのもおもしろいですね。まだ行ったことのないところでは、イタリアで『鋼鉄ジーグ』、中東では『アストロガンガー』、フィリピンでは『ボルテスV』がすごく人気があると聞くので、ぜひ現地で歌ってみたいですね。

――今後も海外へアニソンを広めていかれますか?

水木
もちろん! 海外のファンからたくさんラブコールをいただいているので、求められている限りは、できるだけその思いに応えたいと思いますね。

■最高齢現役歌手を目指して、声が続く限り世界中のファンのみんなに会いに行きたい

――アニソンデビューから約45年間、振り返っていかがでしょう?

水木
この45年間、アニソンの持つ無限の力を信じて頑張ってきました。どんな状況にあっても、地道にコツコツと、目の前の子どもたちのために歌い続けてきました。継続は力なり、ですね。でも、みなさんが「水木一郎」という木が育つように水を与えてくれなかったら芽は出なかった、というのが正直なところです。またアニメ・アニソンがひとつの産業として大きくなり、携わる人達がたくさん増えたのも嬉しい。日本が世界に誇る文化として評価されるようにもなりました。今回の功労賞受賞は、アニメソングを支えてくれたファンや関係者のみなさんのものでもあります。そういった意味でも、心から嬉しく思います。

――アニソン歌手として今後どのように活動していきたいですか?

水木
こんなすごい賞をいただいちゃったりすると、プレッシャーで自由が効かなくっちゃうかもしれないけれど(笑)。でも今までやってきた45年間が無駄じゃなかったんだと思うと、感慨深いですね。
アニソンを歌っていると、年をとるのを忘れてしまいます。こうなったら、最高齢現役歌手を目指してみようかな。声が続く限り、日本の津々浦々、世界中のファンのみんなに会いに行きたいです。アニソンは世代を越え、言葉の壁も文化の違いも越えてしまう不思議なパワーがあります。もしかしたら、宇宙人にもこの声が届くかもしれません。

――楽しみですね。では、今後のご活躍も期待しています!
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《沖本茂義》

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