松山
うーん、脱ぎたかったというのはあります。衣装もですが、精神的な部分で色々と着てきたなと感じるので、一度全部脱いで解放してみようかなと。これはそういう作品でした。
――心も裸にしたかった、と。
松山
終わってなんだかスッキリしました。
――おふたりから見て、原作『珍遊記~太郎とゆかいな仲間たち~』はどんな作品ですか。
山口
週刊少年ジャンプで、あの絵柄でやっているところがミソ。画太郎先生の根本にピュアな、大人になりきれてない大人の感覚があって。「うんこちんちん」的な感覚っていうんですかね。それを出せていたらいいなと思います。やるからには心に何かしら残したい。無視されるのが一番嫌ですからね。ファミリームービーなんて言ってますが、親が「子供は見ちゃダメ」くらい言ってくれないと面白くないです!(笑) 子供は親がダメというものほど興味がわきますからね。
――演じる中で、松山さんが印象に残っているシーンは?
松山
温水さんとアクションするシーンは全然違う風が吹いていると思います。作品のそれまでとは違う良さが出ました。
山口
あれが最後の撮影シーンだったよね。ほとんど温水さんが自分でやっているんですよ、アクションチームもびっくりしていました。
松山
温水さんが本当にキレッキレで。どんなスキルを隠し持っているかわからない人ですよね。あとは、アキバ役の今野浩喜さん。ハマりっぷりがすごい。
山口
以前、温泉で今野さんと一緒になったことがあって胸毛がすごかったんですよ。いつかこの胸毛を撮りたいと思って。
――アキバのあの喋り方は山口監督が今野さんにオーダーしたものですか?
山口
今野さんがやってくださったものです。僕は何も言ってなくて。実際に目の前にいたら腹が立つようなお芝居が本当に素晴らしかったです。ご本人はクールで寡黙な方で、そのギャップもまたいいんですよ。
――『珍遊記』は、お下劣ギャグをやっているけれど、下品さや汚さはない。すごく微妙なさじ加減で作られていると感じました。
山口
この映画の核心は「うんこちんちん」なんです。加藤茶さんがドリフで言っていた、うんことちんちんをくっつけただけの言葉なんです。それぞれ単体で聞くと若干汚い。でもあの呼び方だとかわいらしく聞こえる。かわいしく感じられること、それが大事なんです。
――最後に、メッセージをお願いします。
松山
舞台挨拶で山口監督も言っていたのですが、観ても何も残らない映画。それが素晴らしいなと思います。何か残そうとする作品が多い中、そういうところがいいなって思います。
山口
僕は言い訳が嫌なんです、「コメディだけど愛を描いています」みたいな。コメディならコメディ、そのままでいいんです。遊園地に行ってアトラクションを楽しんできたと同じような感覚になってもらいたいです。今後もそんな風に作品を作りたいですね。
――ありがとうございました!