2015年アニメビジネス10大ニュース ‐解説 後編‐(5位から10位) | アニメ!アニメ!

2015年アニメビジネス10大ニュース ‐解説 後編‐(5位から10位)

■アニプレックス、独仏でアニメ事業拡大■映画「ラブライブ!」興収28億円突破■相次ぐスマホゲームのアニメ化発表■クランチロールと住友商事が投資会社設立など

コラム・レビュー そのほか
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5. アニプレックス、独仏でアニメ事業拡大

2015年は海外市場としては、中国やアジアが注目されることが多かった。しかし、ヨーロッパでも大きな動きあった。アニメ企画・製作の大手アニプレックスは、ドイツで現地会社ペパーミントと合弁会社peppermint anime GmbHを設立、さらにフランスの日本アニメビジネス会社ワカニムに出資した。アニプレックスの海外拠点は、米国ロサンゼルスに続くものである。
ペパーミントは日本アニメの映像ソフトやイベントを手がけ、ワカニムは日本アニメの配信を手がける。2015年はインターネット配信やカルチャーイベントで、海外でコアファン向けの日本アニメが再び活性化しているとの指摘が多かった。アニプレックスは米国で成功したコアな日本アニメファンの開拓をヨーロッパでも挑戦する。

6. 映画「ラブライブ!」興収28億円突破

その日本でコアファン向けの作品が、一般層にまで広がったのが『ラブライブ!』だ。深夜アニメ発の作品だが、6月に公開された『ラブライブ!The School Idol Movie』は興収28億円を超える大ヒットになった。これまで大ヒットであった『劇場版 魔法少女まどか マギカ[新編]叛逆の物語』の記録を大きく超えた。
さらに作品から飛びだした声優ユニットμ'sは暮れのNHK紅白歌合戦にも出演、まさにメジャーに躍り出たかたちだ。アニメファンとそこから派生するビジネスの広がりを感じさせた。

7.相次ぐスマホゲームのアニメ化発表

アニメ制作の本数の増加が指摘された2015年だが、トレンドのひとつがスマホアプリゲームからのアニメ化である。
2015年には、『アイドルマスター シンデレラガールズ』『SHOW BY ROCK!!』といったヒット作があった。さらに『グランブルーファンタジー』『あんさんぶるスターズ!』『チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~』『ディバインゲート』『神撃のバハムート マナリアフレンズ』などの製作が発表されている。

スマホアプリゲーム原作増加の背景には、従来からアニメ原作に多かったマンガや小説など作品の不足、何百万、時には何千万単位でダウンロードされているスマホアプリゲームの知名度の高さ、さらにアプリゲームを運営する企業の資金の潤沢さが理由だ。
2014年の作品であるが、『神撃のバハムート』はゲーム開発・運営のCygamesがアニメ製作を全額出資したことが話題を呼んだ。さらにCygamesは2015年にアニメ事業部を設立している。
またmixiが製作するアニメ『モンスターストライク』は、テレビ放送はなくYouTubeのみの配信、通常の1/3の尺と新しいビジネスに挑戦している。スマホ原作はアニメビジネスの構造変化のきっかけになりうる点でも見逃せない。

8.クランチロールと住友商事が投資会社設立

日本アニメの海外向け配信の大手クランチロールが、住友商事とアニメ製作投資を目的とした会社を共同設立すると発表した。クランチロールは日本のアニメ会社にとっては、海外配信権の大口の買い手であったが、今後は別のかたちでもビジネスパートナーとなる。
また日本アニメのライセンスの買い手であった海外企業が、日本アニメへの直接投資に関心を高めている表れでもある。クランチロールは製作における自社の役割のひとつとして、海外ファンのニーズを日本の製作社に伝えることを挙げている。

9.アニメコンソシアームジャパン 活動開始

2014年に設立され、海外向け日本アニメ配信の動画サイト「DAISUKI」の運営を引き継いだアニメコンソシアームジャパンが、2015年より本格的に始動した。7月にはこれまでのアニメ企画・製作会社に加えて、KADOKAWA、講談社、集英社、小学館の出版社やグッドスマイルカンパニー、ブシロードのアニメ関連商品を開発・発売する企業も出資社に加わった。アニメ関連企業のオールジャパン体制を強化する。
さらにアニメコンソシアームジャパンは、アニメの製作委員会への出資もする。ECサイトも強化するとしており、日本アニメの海外窓口としての役割を拡大している。

10.バンダイナムコ・ピクチャーズ、サンライズからスピンオフで設立

国内有数のアニメ企画・製作、そしてアニメーション制作のサンライズが会社分割をし、4月にバンダイナムコ・ピクチャーズを設立した。バンダイナムコ・ピクチャーズはサンライズから主にキッズ・ファミリー向けの事業を引き継いだ。『アイカツ!』や『銀魂゜』などを担当している。
両社が所属するバンダイナムコホールディングスは、2014年、そして2015年と業績が好調だ。そのなかで同じ4月に行われた組織再編ではアニメを中心とした映像音楽プロデュースユニットを設立、バンダイチャンネルのバンダイナムコライツマーケティングへの社名変更も行われた。さらなる事業拡大に向けた体制づくりを推進する。
[数土直志]

[/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載]

《アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.biz》

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