東京国際アニメフェア2009 不況のなかの健闘 史上最高規模で | アニメ!アニメ!

東京国際アニメフェア2009 不況のなかの健闘 史上最高規模で

【2009年盛況も不安感残る】
 3月18日から21日まで、東京ビッグサイトで開催された東京国際アニメフェアは、過去最高の出展小間数、そして2.5%ではあるが昨年を上回る過去最高の人出となった。
 特に、ビジネスデーは6.3%の増加と堅調であった。国内と世界の経済が

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【2009年盛況も不安感残る】
 3月18日から21日まで、東京ビッグサイトで開催された東京国際アニメフェアは、過去最高の出展小間数、そして2.5%ではあるが昨年を上回る過去最高の人出となった。
 特に、ビジネスデーは6.3%の増加と堅調であった。国内と世界の経済が後退色を強めるなか、2009年の東京国際アニメフェアはひとまず成功と言っていいだろう。

 一方で、こうした見かけの数字ほどには、4日間の会場の様子は明るくはなかった。全体に昨年に較べて、華やかさが欠け、地味な印象を与えた。ビジネスデー、パブリックデーとも、大手製作会社によるステージやブースでのイベントは減っていたことが大きな理由だ。
 シンポジウムの開催数が増加している様に、よりビジネス的なイベントが増え、その空白を埋めていた。しかし、イベント全体の活気が減退している印象は否めなかった。また、海外からの来場者も欧米からの来場者も例年に較べ少なく、ビジネスデーのビジネス成約に不安を残した。

【影を落とすアニメ業界の停滞感】 
 もっとも、これは昨年から色濃くなっている業界全体のビジネス停滞感が、先入観としてネガティブなバイアスをかけているのかもしれない。
 アニメの産業は主にテレビ、DVD、映画、そしてそこから派生するライセンス商品の市場から構成される。そのうち昨年テレビ局の業績はかつてない不振に直面している。

 今年3月初めに日本映像ソフト協会が発表した2008年のアニメDVDの売上は、2桁の減少であった。非上場企業が多いため、公表されることがないアニメ映像パッケージメーカーの業績は、必ずしもよい数字でないとされている。これらが現在のアニメ制作本数の減少に影響を与えている。
 また、過去数年でディズトリビューターと呼ばれる海外のバイヤーは、DVDビジネスで壊滅的な痛手を受けている。これが欧米のバイヤーの新規作品の買い余力を低下させている。

 問題はこうした業界を覆う停滞感は、昨年秋に始まる世界的な不況のせいだけではないことだ。現在の経済不況の影響という以上にアニメ業界の構造的な問題が横たわっている。
 例えば、海外バイヤーの減少は、違法配信問題が大きな理由となっている。国内のDVD販売の減少も、マニアに向けに高額のDVDを数千枚から数万枚の小ロットで販売するビジネスに行き詰まりが見えてきている。テレビでのアニメ放送についても、長期的に進むアニメ番組の視聴率低下傾向の克服が依然課題となっている。
 東京アニメフェア2009に感じたムードは、むしろこうした不安感の総体なのかもしれない。それでもこうした状態が今後も続けば、2010年のアニメフェアは、実際に今年ほど明るい結果にはならないかもしれない。

【元気があったインディーズ界隈】
 勿論、アニメ業界にはもっとポジティブな面も多い。特に今年指摘が多かったのは、所謂インディーズ系のクリエイター、企業の活躍である。神風動画に代表される先鋭的なスタジオが、独自のブースを持ち積極的に活動しており、メジャーとインディーズが急激に融合し始めているのを強く感じさせた。
 また、アニメフェアが人材育成として設けているクリイターズワールド出身の企業、人材がメジャーシーンに進出する例が増えている。クリエイターズワールドのレベルの急激なアップは、多くの人が述べており、目を見張るものがあった。
 宇木敦哉さんの『センコロール』が、アニプレックスからデビューすることは多くの人に驚きを与えた。人材不足を常に言われるアニメ業界で、今後、インディーズシーンから才能を発掘する動きが強まりそうだ。

 同様に投稿型コミュニティサイト、海外向けのインターネット配信のクランチロールなど、製作や制作と距離のあるアニメ周辺事業の積極的な出展も目立った。アニメビジネスが多角的に広がりつつあることを感じさせる。
 こうした傾向は見本市の進む方向として、必然的な流れなのかもしれない。ビジネス見本市の役割が作品の買い手(バイヤー)やビジネスパートナーを探すことであれば、大企業であるほど見本市の機能を必要としないからだ。
 
 大企業は既に国内外に多くのビジネスパートナーと関係を持っているし、紹介というかたちでビジネスを広げる手段を持っているからだ。見本市は成長企業や中小企業にとってこそ、最も必要とされている。そして中小企業の振興は、アニメフェアの大きな目的のひとつである。
 インディーズ企業や周辺企業の活躍が目立った今回のアニメフェアは、本来の目的に沿ったものだと言えるだろう。また今後は、こうしたインディーズ企業、クリエイターや周辺企業との既存のアニメ企業とのコラボレーションが起これば、アニメビジネスの新たな突破口になるのかもしれない。

東京国際アニメフェア2009 公式サイト /http://www.tokyoanime.jp/

《animeanime》

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